12.28.2016

[log] NYそのた2 -- December 2016

ひとはもちろん勝手に生きて死んでいくわけだし、自分から死を選ぶこともあるけど死はそれぞれ個々の事情によるので、そういうのが重なったとしても、それはそれぞれの勝手の連なり、つまりは偶然 - たまたまそういうことが連続して起こったのだと、それだけのことなのだと言い聞かせるわけだが、それをずっと自分で自分に言い聞かせるようなことが続いていくと、偶然の向こう側にある死の世界を知らない我々はそこに識域を超えたありえないなんかが働いていると思い込みたくなってまったくしょうもない。
亡くなったひとに「ご冥福をお祈りします」とか「Rest In Peace」とか言うけど、本当に心の底からJohn Lennonの"Mother"みたいに絶叫したいのは、「置いていかないで」とか「好きなひとを連れていかないで」ていうことなの。 なんでかって今のここってほんとうにひどいありさまで、残された我々に見えているのは焼け野原の無間地獄みたいなやつで、みんながいなくなっていくので余計にそう見えてしまうのかもしれないけど、彼らの喪失がもたらした穴だか壁だかの向こう側にわらわら見えてくる連中ときたら、ゾンビよりひどいし臭いし、なにをだらだら言っているのかというと、そりゃいくらでも悼みますけど、まずは自分を立て直さないと、気がついたらレッドゾーンにいて、奴らの思うままになっちゃうから、そうなりませんように、って。 (わりと必死)


さて、NYの滞在中に食べたものたちあれこれを書いておく。 時間順で。
ふだん朝ごはんは食べないのだが、2.5日しかいないのでとっても切実が止まらない。

15日の夕方に着地してマンハッタンに入ったのが20時、”Rogue One”は22:15開始。
昨年はPorchettaのサンドイッチだったが、まさかのクローズをしてしまったし(涙)、外はマイナス7℃で、ほんとうであればあったかいラザニア(そう、PorchettaがなくなってもPorsenaがある!)て思ったのだが寒すぎるしぜったい映画館に遅れたくなかったので、映画館の近所のShake Shackにしてしまった。 ここは屋外まで列ができていることが多かったのだが、寒さのせいかそこまでではなくて、久々に戴いて、こんなに寒いのについシェイクまで頼んでしまった。 
そういえば日本のはまだ行っていないねえ。

16日の朝、お腹へって目覚めて、映画を見るまえになんか食べたい、になっていたので。

Lafayette Grand Café & Bakery

●Anton Mills Oatmeal, fruit stewed in cognac, toasted almonds と、デニッシュ。

ちりちりの寒さに朝の光がやや眩しすぎたが、オートミールはそれよりもっと沁みてたまんない。
あったかいお粥みたいのにお酒に浸かったフルーツが絡んであったまるよう。

で、ここを出て、どんな寒さでも来やがれ、になった状態で”Manchester by the Sea”をみた。
で、東海岸の海の映画だったので、Clam ChowderのNew Englandだよねえ、と歩いて西のほうに向かってランチを。

Pearl Oyster Bar

●New England Clam Chowder with Smoked Bacon
●Lobster Roll with Shoestring Fries

Grand CentralのOyster BarのN.E. Clam Chowderはいっぱい食べ過ぎて自分の体液の一部になっているのだが、ここのはダシがぜんぜん違うかんじがするの。 Lobster Rollは「時価」ていうのがどきどきで、でもバターがほんのりじんわりロールにでっかい塊(たぶん一匹ぶん?)がぱんぱんに挟まっているので文句いえない。 あと、その上にがさがさ盛られて靴紐みたいにこんがらがった極細のフレンチフライは油と紙一重のスリルがたまんなくてとまんなくなり、あとでじっとり後悔する。

晩は、”La La Land”のあと、22:30の予約が取れたここに。

Augustine

場所は昔は食の不毛地帯だった気がするCity Hallの近所にできたBeekman Hotel(Thompson系列)のダイニング。 フードライターでもなんでもないのでRestaurateurの動勢なんてどうでもいいのだが、Keith McNallyというひとがNYに作ってきたお店のいくつか(ぜんぶは行ってない)はとっても好きで、それはそこで供されるお料理が好き、というより(それもあるけどね)、彼のつくるお店の記憶にのこるかんじ - 壁とかタイルとかライティングとかのほのかな柔さ - がたまんないのだと。

で、デコールは彼の作ってきたお店の典型 - 来たことないのにいつかどこかで訪れたかんじのする、少しノスタルジックな調度が入ったとこからはまって、ああ、になる。 金曜の晩なのでとっても混んでいた。

●Salt-baked oysters
●Spaghetti with Sea Urchin
●Leg of Lamb "Aux Fines Herbes"

お料理もKeith McNallyで、少しフレンチブラッスリー少しイタリアンけっかたぶんアメリカン、みたいな。べつにおいしけりゃいいじゃん、とは言いたくないなにかも、確かにあるの。
ウニのパスタはなんでか今年のトレンドらしいが、あったりまえにおいしかった。麺はふつーの乾麺で、ちゃんとそこそこ硬くて、量もじゅうぶん。 次回はバーガーを狙いたい。

●Armagnac Mille-Feuilles with poached pear, and marinated prunes
彼のお店に行ってデザートいただかないのなんてありえなくて、とにかくハズレはなくて、そのまま酔っぱらってでろでろに崩れて帰れ、ていうことなの。


くどいようだが17日の朝は雪で雨で、でもごはんは食べたいのでUnion Squareのマーケットを見たあとでバスで西に流れてWest Villageのここで食べた。 予約とらないとこで10:00でもぱんぱんで、でも外だと雨に濡れるのでエントランスの隅でじーっと待つ。

Buvette

●Scrambled eggs with chorizo and grated parmesan
本日のスペシャルで、がりがりの堅パンの岩盤にふわとろタマゴの溶岩がかかって、塩辛みたいにチョリソが食いこんでて、そのうえにかつぶしみたいなパルメジャーノがはらはらと。
フレンチだけどね。 もうなんか絶句するよね。だってパンと卵とくず肉とチーズだけなのよ、なのになによこれ。
驚異の、驚愕のレイヤー責め。どのどことの組み合わせしたってぜんぶ溶けてきやがる。

●Tarte Tatin
で、雨でぐしゃぐしゃなんだからデザート食べずに出たくなんかない、と。
すりおろしたリンゴがなんか、胡麻豆腐みたいな特殊技術で固められたとしか思えないような、そういう密度と粒度のたると・たたん。フランスおそるべし。

レシピがあった。 レシピが。
https://houseandhome.com/recipe/buvettes-tarte-tatin-recipe/

パリのお店もぜったい行かねばなるまい。


地下鉄でMetrographに行って、”ParaNorman”みた後で2階のレストランカフェでフレンチトーストたべた。 こんなのが映画館の真上で、午前2時までやってるなんて、入り浸るよねえ。

The Metrograph Commissary

https://metrograph.com/eat-drink/

そして最後の、土曜日の晩はいつものここしかない。

Prune

いつものパイナップル頭のマダムがいらっしゃらなかったのが残念だったけど。

●Snack Tray
●Braised Tongue and Grilled Octopus with Salsa Verde and Mimosa'd Egg
●Braised Rabbit Legs in Vinegar Sauce

ぴょんぴょんうさぎの脚。いっつも思う、Pruneのバターソースの謎。あの絶妙にまろやかな酸味はどこのどういう化学変化によるもんなのかを知りたい。そのなかでほぐれて縒れて泳いでいくうさぎの繊維。

●Salt-Baked Whole Pear
お皿に突ったった洋梨いっこまるごと塩で固めて焼いただけであーら不思議、塩キャラメル風味のお菓子になるの。 日本の洋梨でできるかしら。無理だろうなー。

またきっと来るからね、Prune。

18日の、最後の朝ごはんは、ホテルから歩いていった。日曜の朝なので早い時間からやっているとこはあんまなくて、24時間のにならざるを得なくて、そうするとここくらいしか。

Veselka

Borscht(Christmas Borschtていうのがでてた)を食べたかったのだがまだ準備できてない、というのがショックで、泣きながらホットケーキにした。
おいしいからべつによかった。

こんなかんじ。 今年の食べもんはこれでおわり。 とうぶんなにを食べても反応しなくなるから。

まだなんかあった気が。

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