11.05.2016

[film] In Jackson Heights (2015)

10日の晩、新宿に移動してラテンビート映画祭で見ました。 まあ一般公開は難しいだろうしな。

Frederick Wisemanがクイーンズのジャクソン・ハイツにカメラを持ちこんだドキュメンタリー。
これの前に見た“The Beatles: Eight Days a Week”からだとShea Stadium(クイーンズだよ)でつながっている。

なんでクイーンズなのかというと、いろんな移民がいっぱい生活しているから。でもそういう町なら他にもありそうだし、もう少し突っ込むと、移民がいっぱいいるのにあんまざわざわしていなくて、町の佇まいとしてはなんか落ち着いてある、それってなんだろうか、ていうあたりではないかしら。

もう少し分解すると、Make the Road NYていう支援団体やDaniel Dromm市会議員の人を中心に据えた地道な活動とか、BID - Business Improvement Districtとしての全体の開発の話とか、そういうのが引き起こすさざ波の波間にユダヤ教のお寺があってイスラムのお寺があってイスラム文字の塾があって、ハラルの鷄食肉工場、人の爪切り、犬の爪切り、タトゥー彫り、顔剃り、タクシー教習所が東西南北を教えるとこ(なんかすごい)とか、編み物しながら無縁墓地の話をするおばさんたちとか、ふつうのストリートフェアにアイスクリーム売りに、ようするに人種もジェンダーも生活も家業も多様であたりまえで、問題があったらそれをみんなで露わにして話しあうのもあたりまえで、で? それがどうした? だからどうした? な穏やかさがある。

そもそもその穏やかさが尋常ではないのだ、と言うことも可能なのだろうし、確かに変てこで怪しげな建物とかお店はいっぱいあっていろんな人がいるけど、お散歩してみればなんかゆったり落ち着いてご機嫌になるんだよね。 

わたしにとってのクイーンズはまずアストリアで、Museum of the Moving Imageがあるし、隣にはカウフマン・アストリア・スタジオがあるし、素敵な地下鉄の高架があるし、よいところなんだようー。 老人になったらMuseum of the Moving Imageの特集上映に毎日通うのが理想なの。
(今日 - 11/5なんか『大菩薩峠』 (1966)の50周年記念上映で仲代達矢が登場するんだよ)

それにしても面白いのはBrooklynとの違いだねえ。どっちも移民が多いけど歩いてみるとかんじがぜんぜん違う。 それこそCaptain AmericaとSpider-Manくらい違うの。

なんかねえ、Frederick Wisemanの映画って、自分の半径とあまりに違う世界のが割と多くて感心するばかりなのだが、この映画に関しては少しだけ自分にもわかるところに触れていて、そうするとどうなるかというと、更にいろいろ足元を見て考えてしまうのだった。あ、”National Gallery” (2014)もそうだったけど。

でもここんとこ、映画の中でも少しあったけど、Brooklynもそうだけど、高層ビルがいっぱい建ち始めているのが不安かも。 目に見える風景が変わると人たちの目とか姿勢も変わっていくでしょ。

そうそう、香川京子さんも結婚して夫の海外赴任についていって暮らしたのがクイーンズで素敵だったって。

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