10.20.2016

[theater] Letter to a Man

16日の日曜日、15時にBAM(Brooklyn Academy of Music)のHarvey Theaterでみました。
チケットはあたりまえのように売り切れていたのだが、いつものように諦めずつっついていたら取れた。 そうあるべきよね。

演出Robert Wilson、音楽Hal Willner、で上演はBAM、となったらそろそろLou Reed追悼のなんかをやってもおかしくないと思うのだが、ここでなぜかニジンスキーの手記が出てきた。

Mikhail Baryshnikovによる一人芝居、というかダンス。 この(いろんな意味で80代な)3人が揃うのなら見なければいけない、というかんじにはなる。 70分、一幕のみ。

会場のHarvey Theaterはメインのオペラハウスから歩いて5分くらいのとこにある古い廃墟のような劇場で、雰囲気も含めて大好きなところ、久々に行けたので嬉しかった。
Harveyに行く前にオペラハウスの方にも寄ってシネマテークのパンフとかをピックアップする。行けないのにさ。

猫映画特集がはじまるよ。
http://www.bam.org/film/2016/13-cats

降りた幕の真ん中に仏壇の遺影のようなかんじで金縁のニジンスキーの肖像写真が飾ってあって、時間が来るとそこに白塗りのニジンスキー(Baryshnikov)が浮かんでいる。
「戦争のことはわかるんだ。義母とさんざんやったからさ」というフレーズが英語、ロシア語、いくつかの言葉で反復される。

以降、第一次大戦時にハンガリーに拘留された後の1919年、統合失調症を発症して精神病院に入院するまでの間に書かれた手記の断片をコラージュ/反復し、壊れてしまったニジンスキーが20世紀初の輝かしいキャリアも含めてノスタルジックに回顧しつつ、舞ったり宙づりになったりするその身体を。

ミニマルな舞台装置に照明、ところどころノスタルジックな音楽(Arvo Pärt, Tom Waits, Henry Manciniなど)がふんわりと転がり、これらの暴力的な切断、緩慢で芝居がかった動き、上の空、白塗り、などなど、Robert Wilson的な記号がいっぱいで、ここでのニジンスキーを”Einstein on The Beach”のアインシュタインと同じような位置で見てよいものかどうか、はまだ少し考えている。 物理学に、バレエに革命を起こした人たち、彼らと20世紀の戦争との関わり、そこでの個人の心象風景を現代の我々が見ている風景・歴史観にまで敷衍してみせること、その可能性も含めて舞台上にあげてしまうこと、などなど。

“Letter to a Man”の”Man”、ていうのはニジンスキーと同性愛の関係にもあったディアギレフのことで、後半は彼に対する愛憎 - 彼に凡人て言われたとか、そんな嘆き節みたいのばかりで、やがて”Man”の言葉は神の言葉として彼の精神をぎりぎりと縛っていくようになって。

壊れてしまったバレエの天才の晩年を演じるのに68歳のMikhail Baryshnikov以上に適した人がいるとは思えなくて、舞台で見たのは00年代の彼自身が主宰していたThe White Oak Project以来だったが、ぶるぶる震える肩の動きとか瞬間で逆さ吊りになったり(あれ、どうやっているんだろ)、変わらず素敵だった。 もうちょっとだけ動いてほしかったけど、しょうがないわよね。

あと、この”Man”って、”I’m Waiting for the Man”の”Man”と同じようなあれだよね、とか。


BAMの周辺、駐車場がいっぱいあったのにきらきらした高層ビルが建ち始めていて、なんかやなかんじになっていた。 あんなふうに風景を変えてほしくないんだけどー。

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