1.10.2016

[film] Hrútar (2015)

新作の洋画初め。3日の午後、新宿で見ました。
「ひつじ村の兄弟」。 英語題は"Rams”。
本来であれば12月中に - 羊年のクリスマスに見るべき映画であった。そんな盛りあがる内容でもないけど。

恥ずかしいことだが、ずっとアイルランドの羊の話しだと思いこんでいて、アイルランドの羊なら見にいかねばなるまい(なんで?)、て中に入って、始まってからも英語じゃないねえゲール語かしら、とか思ってて、この土地ってひょっとしたらアイスランド? ..  アイスランドだねえ、となったの。
まあとにかく、北のほうででっぷりした酔っ払いみたいな男たちともふもふの毛玉が右往左往する話だよ。

アイスランドのどっかの村(別にひつじ村て名前じゃない)で隣同士で羊飼いをしている兄弟 - Kiddi (兄)とGummi(弟)がいて、外見は髪も髭もまっ白ぼうぼうの牧神赤ら顔であんま見分けつかなくて、兄のほうが少し禿げあがっているくらい、でもなにがあったか知らんが仲はとっても悪くてほぼ40年間口もきかない目も合わせないでいる。 そこで年一回の羊の品評会があって優勝したのがKiddiのとこの羊でGummiのとこのは2位、Gummiは負け続けているらしく悔しそうで、終ってから兄のとこの優勝羊をいじってみたら、なんか様子がおかしかったのでこれはひょっとしたら… て調査してもらったらこれまで発生したことのなかった疫病で村の羊をぜんぶ処分しなければならないことがわかる。

Kiddiは見つけて通報したGummiのとこに怒り狂って怒鳴りこんでくるし、Gummiはこんなことになるとは、て悔やむのだがもう遅くて、自分で銃を取って自分の羊たちを処分して、Kiddiはやけくそで飲んだくれてぼろぼろで、村全体で力を合わせなければいけない時なのに、中心にいる兄弟の亀裂は更に広がってどうしようもなくて、もう羊飼いをやめるわ、ていう家も出てくる。

でもじつはGummiは家の地下で2位だった牡羊と取り巻きの牝羊数頭をこっそり隠して育てていて、
それが当局にばれちゃってやばくなって、兄に助けを求めたら山の向こうで放牧すれば火山もあってあったかいから、と二人でひとつのバイクに跨がり羊を連れて逃亡の旅に出たら、とんでもない嵐がやってくる。

間に羊が挟まっているので暖かかったりふわふわしているかと思った兄弟同士の確執は実はものすごく深く険しくて、牡羊が巻き角をがんがんぶつけあっているのと同じく激しく当たりすぎて互いにへろへろになっている、犬も喰わねえ羊だし、そういうのがアイスランドの原野の点景としてぽつん、とあって、ここはそれしかない国、星みたいなかんじで。

兄弟はわりとなんでか割と簡単にヌードになってしまうのだが、そうするとWilliam Blakeの版画 - “The Ancient of Days”とか - みたいで、すると途端に世界がでっかく神々しくひろがって、なんかよいの。

でもやっぱし羊だよねえ。 アイスランドの固有種らしいけど、角の巻き具合とかそのバランスが素敵で兄弟よか羊のほうに見とれて気になっちゃってさあ。

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