11.24.2014

[film] Panic in the Streets (1950)

9日、日曜日の昼間、京橋で最後のMOMA特集、短編ひとつ、長編ひとつ。

Interior N. Y. Subway, 14th Street to 42nd Street (1905)
「ニューヨークの地下鉄」

4分間の短編だが、個人的にはこっちがメインだった。

1904年に開通したニューヨークの地下鉄の、Union Square (14th)からGrand Central (42nd)までを進んでいくさま - お尻の車両 - を電車の先頭に置いたカメラが追っかける。追う、といっても電車が止まると止まるし、動くと動く、それだけ。 照明は横の同じ速度で隣の線路を並走している地下鉄から貰ったって。
途中で止まる駅があったりするので、④とか⑤のExpressではなくて、いまの⑥と思われるのだが、全ての駅に止まるわけではなくスルーしている駅もあって、よくわからない。同じく、今の⑥と同じ線路の上を走っているのかも、あれこれ調べたり探したりしてみたけどあんまよくわからず。

それにしても、NYの地下鉄って、なんでこんなにも記憶に残って気になるんだろう。

あの轟音と振動、臭気、夏の暑さ、ネズミ、水たまり、物乞い、変な、いろんな乗客たち、さんざんな目にあったことも沢山あるし、使いやすさとか便利具合でいうと日本のほうがだんぜん上だと思うが、日本のなんてなくなろうが変わろうがどうでもいい、けどNYの地下鉄のあの音のトーンがちょっとでも変わったりしたらとてもとても悲しくなるはず。

ていうようなことを今から約110年前の映像を見ながら思ったりした。
110年前の地下鉄のお尻はまったく無言だったけど。

Panic in the Streets (1950)
「暗黒の恐怖」

深夜のニューオリーンズのバーで賭博のテーブルを囲んでいる連中がいて、そのうちのひとりが具合悪いから帰るわ、て言うのだが、勝ち逃げは許さねえ、て揉めて港のあたりで殺されちゃうの。
港で死体が見つかった翌日、検屍をした衛星局のひとはこいつは肺ペストでやばい、て直観して警部と一緒に彼の入国ルートとか接触した連中を片っ端から調べはじめる。 

当局は肺ペストの可能性なんて漏れたらパニックになる、て極秘で捜査を進めようとするのだが、しょっぴかれて調べられる側は、びびりつつ冗談じゃねえ知らねえ、て言い張るし、新聞記者とかはなんかこの動きは怪しいって、探りはじめるし簡単に進まずに、時間が経つにつれて病人がぽつぽつ出はじめる。

昨今のエボラ熱とかの対応と照らし合わせて考えてみるといろいろおもしろい。
この映画だと、肺ペストの危険性とか蔓延の可能性は極秘情報で、状況がひどくなるのと情報が広がっていくのの追いかけっこがテーマで、だからスリリングなのだが、今の世の中だと、やばそうな情報は基本、開示した上で当局はやれることをやって、市民は各自守れるものは守ってもらう、ていうやり方で、でもこれをやったからと言って拡散の抑止力になるかというと、そんなでもない気がする。 いつから、なにをきっかけにこの辺の対策って変わっていったのか、とか。

闇の奥でうごめくペスト菌とか、その更に向こうにいる地元のギャング達、むんむんの密航船の連中とか、これらを白昼の路上に引っ張りだそうとする当局との攻防、そのコントラストがかっこよくて、最後の港湾倉庫での追っかけっこはすばらしかった。 特にちんぴらの親玉のWalter Jack Palanceのきれっぷり悪っぷりときたら、デビュー作だから張り切っているのかもしれんが、なんかすごい。

またきてねMOMA。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。