5.11.2014

[film] 路上の霊魂 (1921)

GWのお休み29日(なんの日だっけ?)、朝から仕事で死んでて、路上の霊魂としか言いようのない形相のまま午後遅くにのっそりと起きあがり、神保町に行って見ました。
おなじみ「巨匠たちのサイレント映画時代 IV」。 ピアノもおなじみ柳下美恵さん。

製作は小山内薫の松竹キネマ研究所。 原作はシュミットボン『街の子』(森鴎外訳)とゴーリキー『どん底』。

ほんもんの小山内薫が出ているし、監督は村田実だし、脚本は牛原虚彦だし、島津保次郎も参加しているし、鈴木傳明も出ているし、といったふうに日本映画初期の割とゆうめいな一本らしいのだが、そういうのはともかく、じみじみに擦りきれて擦りへってあんま救われないかわいそうなお話で、よかった。

山奥で伐採所を経営しているお金持ちの老人(小山内薫)がいて、その息子(鈴木傳明)はヴァイオリニストになるはずだったがいろいろぶち切れて挫折して失踪して妻がいて娘がいて、でもひもじいし寒いし実家に戻って助けてもらいたい。
その近所にある別荘には金持ちのお嬢さんと執事と別荘番がいて、うきうきとクリスマスパーティの支度をしようとしている(クリスマスに八木節)。
 
牢屋を出たばかりで体を病んでいる2人組と実家をめざす家族3人がほんの一瞬すれちがい、それぞれの「家」に向かい、出会うのだが、その先での救われたり救われなかったりを通して憐れみとは情とは、とかそういうのを描く。 ひとの社会には階級があって貧富があって長くのびた道の上をいろんな霊魂が行ったり来たり彷徨っていて、そういう状態の絵を。

冬の晩、暖かい家の中と寒く厳しい外から来たものの間で起こるドラマ、というとこないだのノーザンライツで見た「復讐の夜」を思いだしたりするが、あれよかあっさり非情な切り捨てかたがなかなか。

柳下さんのピアノは施す側にも施される側にも等しく - 路上の、地上の霊魂に地を這うようにぴったりと寄り添うことで一瞬仰ぎ見た空の美しさと刹那を照らしだして、素敵だった。

あとどうでもよいけど、太郎が持ってけって言われた子兎って、ぜんぜん子兎じゃないとおもった。

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