3.06.2014

[film] In Secret (2013)

あばらいたい。 しゃっくりしたら気を失いそうになった。

26日の晩、フィッシャーマンズワーフで懇親ディナーがあって、でも外は雨でまっくらであざらしなんて見えないからつまんなくて、だらだらぜんぜん終わらなくて死にそうになって、ホテルに戻ったのが22時。ひょっとしたら、と裏のシネコンに駆けこんだのが22:15で、ぎりぎりで見ることができた。

原作はゾラの"Thérèse Raquin" -「テレーズ・ラカン」と更にそれを元にしたNeal Bellの舞台用脚本と。
あばらのおかげで本棚の奥まで体をのばすことができないので原作対比はできないや。
過去に何度も映画化、TV化もされているが、それも見ていない。

孤児となりおば(Jessica Lange)の元に預けられたテレーズ(Elizabeth Olsen)、おばは病弱な息子のカミーユ(Tom Felton)を溺愛してて、テレーズは彼と一緒にひとつのベッドで育てられ、やがて当然のように夫婦にさせられる。 恋愛を知らずうんざりげんなりのテレーズの元に無頼肉食系のローラン(Oscar Isaac)が現れ、ふたりの恋は部屋の隅っこで燃えあがる他方で、カミーユが邪魔になってきたので川下りのボートに乗っけて、川に落として殺してしまう。 母は憔悴、テレーズも泣いてばかりでかわいそうだからローランと再婚させてあげよう、と晴れてふたりは夫婦になる。 のだがカミーユの幻影、母の泥のような怨念が纏わりついてどこまでも追ってきて、むかしのような至福の愛はもうやってこないの。

画面はずっと薄暗くもやもやで閉塞感たっぷり、水面を滑るゆるやかな流れの反対側でどろどろ燃え上がる情念とエロと、やがてぶちあたる路地のどんづまりと。

これはなんといっても俳優の映画で、テレーズ、カミーユ、ローランの三角関係とそのてっぺんに君臨する母の4人がどれもよい。猫までよい。
Tom Felton - ハリポタのドラコね - のねちっこい気持ちわるさ、Oscar Isaac - "Inside Llewyn Davis" をはやく! - の猛々しさもよいが、あらゆる局面でさまざまな光彩を見せる - Elizabeth "Martha Marcy May Marlene" Olsenの表情 - 仏頂面 ~ 恍惚 ~ 怖れ ~ 悲愴 〜 震えと慄き - などなど、がすごいったらない。本当にすばらしい女優さんだと思う。
そしてJessica Langeの鬼婆っぷり - 特に身体と言葉の自由が効かなくなってからのあがきときたらおそろしや。

クラシックを映画化しました、のもっさりしたかんじが全体に漂うものの、ラストの白々とした冷たさと救いようのなさは、なんかよかった。

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