10.24.2013

[film] Beau Travail (1999)

気圧がひどすぎてしんでる。 いーくらなんでもひどすぎる。

13日の19:00、AstoriaのMuseum of Moving Imageで見ました。 MOMAで"10 Rillington Place"を見たあとに。

ここでは9月からずっと"The Complete Howard Hawks"をやっていて、この日も16:30から"A Song Is Born" (1948)がかかったのだが、MOMAからここまでの移動を考えると危なそうだったのでここは諦めて、MOMAから一旦ダウンタウンに降りてOther MusicとMcNary Jacksonをまわったのだが、つい5日前くらいにも来ているのであんましないよね。 アナログ2枚買ったくらい。

Museum of Moving Imageでは、NYFFで彼女の新作"Bastards (Les salauds)"がかかったことを受けてか、この日から"Five by Claire Denis"ていう小特集があって、5本ていうのは、デビュー作の"Chocolat" (1988)と、これと、"Trouble Every Day"(2001)と、"The Intruder" (2004) と、
"Bastards"で、"Trouble Every Day"はBAMでも上映されて、なぜか局所的に盛りあがっていた。

10/5のNew Yorker FestivalでのNoah BaumbachとGreta Gerwigのトークのなかで、"Frances Ha"でFrancesがBowieの"Modern Love"に併せて疾走するシーンが流れて、てっきりそれに続けて、『汚れた血』での"Modern Love"にいくかと思ったらこの"Beau Travail"のラストのDenis Lavantのひとりダンスシーンに行って、それでもみんな唸らされて、すごく気になったの。

原作、というほどのものではない、ベースはメルヴィルの短編 「ビリー・バッド」。 ちなみに(配布されていたレジュメにあったのだが)同年に公開されたカラックスの"Pola X"の原作もメルヴィルである、と。 たぶん偶然だけど、と。

軍をクビになったオフィサーGaloup(Denis Lavant)が軍にいた当時 - アフリカのジブチに駐留するフランス外人部隊の訓練と待機、移動の日々を回顧する。
血なまぐさい戦闘シーンがあるわけではなく、どちらかというとなにも起こらない静かで退屈な日々 - ダンスとか訓練とか水泳とか - なのだが、そこに入ってきた美しい新兵(Grégoire Colin)と彼の確執を描く。 

ここも激情まみれのどろどろの愛憎劇、というよりはそれぞれの目線や動きの交錯のなかのストップモーションとして静かに描かれて、それはそれで鮮烈に残ってすばらしい。 ありあまるエネルギー、美しい自然のなか、仕事(戦争、戦闘)の向かうところが宙に浮いてしまったとき、中立地帯に放りだされて目が彷徨ってしまったとき、例えばヒトはこんな動きをしたりする。
新兵はGaloupを殴って、Galoupは彼をぼこぼこにして車で運び、砂漠のまんなかに置き去りにして、それがばれてクビになって、ちぇ、と。

アフリカにいるフランス人、ジャングルではなく沙漠と海、学校ではなくて軍隊で、というのはあるのかないのか。

んで、夜中の屋外(クラブの外?)、タバコを片手に持つGaloupが"The Rhythm of the night"にあわせて身をくねらせるラストになるのだが、これはなんなのか。 ダンス?
あらゆる目的、過去からも未来からフリーとなってしまった野性と野蛮と肉と魂が、なにかを求めてなのか、なにかを解放するためか封じ込めるためなのか、冷たい夜の闇のなか、動きはじめる(まさに動きはじめる、ような動き)。 今にも爆発しそうで、でも同時に完全に統御されているようでもある。

客席からどよめきと歓声が起こって、最後はみんなわーわー拍手だった。 それくらいすごいの。
(You Tubeにもあるから見てみてね)

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