6.30.2013

[film] Le Naufragé (2009) / Un monde sans femmes (2011)

21日の金曜日の21時過ぎ、フランス映画祭2013で見ました。

邦題は『遭難者』(仮) - 英語題は"Stranded"、『女っ気なし』(仮) - 英語題は"A world without femmes"。 (仮)が付いているのは秋に改めて公開されるから? でもこれで十分だよね。 バカな邦題つけたらただじゃおかねえからな。
『遭難者』が、27分、『女っ気なし』が56分、あわせて83分。

『遭難者』
フランス北部を走っていたリュックの自転車がパンクして困っていたらシルヴァンが親しげに声を掛けてきてお菓子とかくれて、でもちょっとうざいかんじだったのでその場で追い払って、自力で歩いて町にたどり着いて車で駅まで連れていってくれるひとを探すのだが誰もいなくて、どうしよう、だったときに再びシルヴァンとぶつかって、じゃあ送ってあげるけどバーで飲んでから、てぐだぐだしてたら駅までの車中で酔っ払い運転の取り締りに捕まって終電逃して、陸の孤島のような町で「遭難者」となるの。

リュックは、眠れなくなって町に出たりするのだが田舎なのでバーはどこも閉まっていて、しょうがないのでシルヴァンに夜食作ってもらったりする(男ふたりでぺちゃぺちゃ食べるとこがなんとも)。 リュックが彼女とうまくいっていないことを聞いたシルヴァンは彼の寝ているすきに彼の携帯から勝手にメールを送ったら翌朝彼女が迎えにきちゃってかえって気まずくなって、シルヴァンのことを余計なことするんじゃねえ、ってどつくの。

『女っ気なし』
シルヴァンの町の海辺のアパートにバカンスでパトリシアとジュリエットの母娘がやってきて、シルヴァンは彼女達と海水浴したりエビ採りしたりジェスチャーしたり(なかなかおかしい)よいかんじに仲良くなるのだが、そこに女たらしのジルが絡んできてひと悶着あって、気まずくなって、その気まずさの延長で更にいろいろあって、バカンスは終わるの。

どちらの作品もフランスの北の町にひとりでクマみたいに暮らしているお人好しのシルヴァンの身の回りに起こったちょっとした波風、をほんわか追っていて、それはリュックやパトリシアやジュリエットにとっては数年も経てば忘れてしまうであろう旅先の出来事にちがいないのだが、シルヴァンにとってはたぶんそうではなくて、彼は彼らとの出会いのなかで感じた楽しさや気まずさや悲しさをぜんぶ憶えていてそれらをこれからもずっとそのずんぐりとした体のなかに温めて転がしていくんだろうなー、ていう、そういう映画なの。 がんばれシルヴァン、世界はきみの味方だ! なの。

シルヴァンを演じたVincent Macaigneがたまんなくよい。
恋人、恋愛、おそらくずっとなし、体型はずんぐりのでっぷりで髪も薄くなりかけてて、ほっぺたが薄赤くて、子供の頃はいじめられっこで、服はいつもパジャマみたいの着てて、ゲーム好きで、壁にはPink Floydのポスターがあって、要は、女っ気なし、なの。

バカンスを終えて帰る前の晩、シルヴァンの部屋に来たジュリエットにイチゴを出してあげるシルヴァン - イチゴに大量のホイップクリームをかけて、その上に砂糖をふりかけるもんだから思いっきり退いてしまうジュリエットと、そのあとに続けて起こるがちがちのぎこちないやりとりの果てに勃発するとんでもない事態は、ロメールの映画でたまに起こる魔法 … とおなじものなのかどうか、わからない。 ただ、ここの数分間は瞳孔開きっぱなしになる。 いや、いちばんびっくらしたのはシルヴァンだったんだろうけど。

ロジェだロメールだというよか、一番近いかんじがしたのは"Young Adult" (2011)だった。
あそこでPatton Oswaltが演じた役がシルヴァンで、もやもやと過去へのノスタルジアを抱えて田舎にやってきたCharlize Theronが出会ったのがPatton Oswaltだった、というあたり…

これの男女逆転版(男っ気なし)て、ありそうでないのかしら。

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