6.24.2013

[film] いのちぼうにふろう (1971)

帰国した翌日の14日金曜日の晩、シネマヴェーラの勝新特集で2本見ました。
すんごくだるがったのだがどっちも見たかったし、この日で終わっちゃうし、しょうがねえよなまったく、と勝新ならいう。

『いのちぼうにふろう』(1971)

タイトルの字幕では「いのち・ぼうにふろう」だった。
深川の外れの中州に安楽亭ていうぼろぼろの一杯飯屋があって、そこは抜け荷の拠点ではないかと、お上は怪しんでいるのだが、危ない連中がたむろしていて身ぐるみ剥がされるから近寄らないほうがいい、とも言われていて、そこに女郎屋に売られた許嫁をなんとかしたいんだよう、というぼろぼろの男(山本圭)が引きずられてくる。 安楽亭の不良連中は最初は相手にしていないのだが、だんだん逆に引きずられるように、つまり二人の愛のためならこんな「いのちぼうにふろう」モードになっていって、明らかに訳ありの危険な抜け荷だけど大金こさえて二人を一緒になれるようにしてやろうとする。

一見さんお断りの安楽亭にいる連中がすごいの。中村翫右衛門が旦那で栗原小巻が娘、狂犬のような不良共が仲代達矢に佐藤慶に岸田森に山谷初男に近藤洋介に… 途中から廃人のようなぐでぐでの状態で転がりこんでくる謎の奴が勝新で、でも今時こんなメンツが揃った飲み屋があったらぜったい予約困難になる。

白黒の画面とその全体が廃船として浮かんでいるような安楽亭のセットがすばらしくよくて、武満徹の音楽もすてきで、スズメのお話とか地蔵のお話とかもしんみりとよくて、ならず者たちの捨て鉢の「いのちぼうにふろう」状態をとても丁寧に細やかに掬いあげようとしている。
そしてそれはぜんぜん犬死ににはならないのだと。


『新座頭市物語 折れた杖』 (1972)

最初の1本で帰ってもよかったのだが、銚子の花街が舞台であるのなら見てやれ、「いのちぼうにふろう」でええ、というふうになってしまった。(いやそこまでは...)

座頭市は旅の途中で吊り橋から落っこちて亡くなってしまった老婆の形見の三味線を届けに銚子の観音裏の花街に向かう。その娘(太地喜和子、むんむん)はやはり女郎さんになっていて、市は博打でちょっとだけずるして大金を儲けて娘を身請けするのだが、賭場の貸元の鍵屋万五郎(小池朝雄)の恨みを買ってごたごたになっていくの。 鍵屋万五郎はどっちみち悪い奴で、貧しい漁師たちをいじめて漁場を独占しようと企んでいたりするので、やっつけたれ、なの。 でも敵も残忍なのでラストの決闘はものすごく痛そうできつい。

勝新は監督もやっていて、斬新だかなんだかよくわかんないカットがいっぱいある無軌道なかんじもたのしい。 イタリアのどっかの漁村のおはなしのように見えないこともなかったり。

大滝秀治(ぴちぴち)が飯岡助五郎の役で、市の最期を見れるならとやってくるのだが、鍵屋がだめだとわかると何も言わずにすうっと消える、その非情さもすてき。

でもあれほんとに銚子だったのかしら。 観音の裏手に浜はないし、言葉がぜんぜん違うのよね。

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