4.04.2016

[film] The Lobster (2015)

19日の土曜日の昼、新宿でみました。
へんな映画だったねえ。

犬を連れたひとりの中年男(Colin Farrell ...)がホテルみたいな病院みたいな施設で、入所するところで洋服全部とっかえさせられて、厳格なルールのもとで規則正しく他の入居者と共同生活することを強いられて、ここのゴールは45日以内にパートナーを見つけることで、それに「失敗」すると動物に変えられてしまうのだと。 つまり、自身の技量で相手を獲得して子孫を残せないようなやつは動物みたいに一定期間に自動で生殖する仕組みのなかに組みこんでしまえ、ていう。  
男が連れている犬はかつて彼の兄だったやつで、男はロブスターになりたいのだ、ていう。

異性のパートナーを見つけることができない独身野郎は畜獣に堕ちろ、ていう近未来ディストピアもので、だから映画の冒頭には泣きながら(or 怒りに震えながら)牧場のロバ(だっけ?馬だっけ?)を撃ち殺すおばさんの場面が出てくるし、森のなかにはかつて人間だったと思われるいろんな動物(人なつこいのでそうかな、と)がうろうろしていて動物好きにはたまんないのだが、なんかとってもばからしいところもある。 『わたしを離さないで』の中年向け・ライト版かよ、みたいに思ったり。

そもそもなんでパートナーを見つけることを強制され、独身者であることが「罪」とされなきゃならんのか、とか、それができなかったとして、動物になってしまうことがなんで「罰」として機能しうるのか、とか。 主人公がその掟に抗って大騒ぎしたり泣いたり暴れたりするのであれば思いっきり貶してあげるのだが、映画のトーンはどんよりとすっとぼけていて主人公も無表情で既にロブスターになる決意を固めているようなかんじだからなんか始末にわるい。

そうしているうちに動物化を推進する体制に対抗する独身者の組織 - リーダーはLéa Seydoux - が現れて主人公を保護して、こんどのは恋愛対象を見つけたり恋に堕ちたりしたら目を潰すからね、てやつで、べつにそんなのいいよどうせ見つかんなかったんだもの、と思ったとたんに恋愛の相手(Rachel Weisz)が現れてしまったりする。 誰からも干渉管理されない恋愛が突然見えたと思ったら眼を塞がれてしまう、ていう強烈な皮肉。 動物になるのがよいのか、恋愛しないで生きるのがよいのか、暗闇で恋愛して生きるのがよいのか。

  → べつになんだっていいじゃん。 になるのと、いいやそれでも恋愛は。 みたいになるのと。

これらが適度な湿度と温度と粘度で、しょぼくれた中年同士のドラマとして描かれるとこが悪くなかった。 
"Never Let Me Go"

俳優さんがみんなすてきでねえ。すぐに鼻血だしたり呻いたり、じゅうぶん動物なんだけど。

森のなかで鼻歌でNick Caveの”Where the Wild Roses Grow”をうたうところがあって、そこはとってもよかった。 Nick Caveが鼻歌ででるのだったら、そんなにわるくない未来かも。 それか、どっちみち終わっているのかも。

動物、なにになるのがよいのかしら、てずーっと考えている。

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