5.30.2013

[film] The Angels' Share (2012)

16日の日曜日、南極怪獣譚の後に銀座で見ました。『天使の分け前』。

スコットランドで、暴力沙汰を起こして裁判にかけられ、牢獄は免れたものの社会奉仕を命じられたロビーとその他数名が、奉仕活動の現場監督のハリーに連れられるままスコッチウイスキーの工場見学にいって、テイスティングをしてみたらはまって、それなりに勉強して愛好家サークルに入り込み、奉仕仲間3人と一緒にオークションに出される伝説の樽と一攫千金を狙うの。 

ロビーには彼女と生まれたばかりのお赤ん坊がいて、心底真面目に生きようとしていて、でもそのためにはお金が必要で、だから、というのはわからないでもないのだが、かといって奉仕活動の延長で泥棒詐欺さんはよくないのでは、とかいうまじめなひとにはあんま楽しくないかも。

スコットランドの荒地で育った彼らの境遇がそうさせた、とかそういう角度から攻めるのではなく、スコットランド人てほんとしょうもな、と誰もが頷けるややスケール小さめの与太者話として描いたところがよくて、そこにはなんの教訓も罰当たりもなくて、寧ろこんなスカスカに爽やかでいいの、とか心配になってしまうくらいなの。 そのへんがケン・ローチで、彼が向こうで愛される理由がよくわかる1本でもあるの。

Angels' Shareっていうのは、ウイスキーが樽で熟成される過程でどっかに消えてしまう2%のことで、スコットランドでは天使なのかも知れないが、日本だとそういうのは大抵妖怪の仕業で、映画ではロビーがそういうことをやっていて、なんにしてもろくなもんではない、と。
でもべつにいいじゃんそのくらい、なの。

ハリーはあのあと、どんな顔をしたのだろうね。

音楽は、The Proclaimersの"I'm Gonna Be (500 Miles)"、ほぼこれのみ。
グラスゴー、エジンバラあたりのへなちょこ(樽いっぱいあるよ)でもよかったのになー。


吉村秀樹さんのことは、なんてこった、と言葉を失うしかない。
あんなに硬く強く清々しく、縁を際立たせて鳴るギターの音はなかった。
ご冥福をお祈りします。 ああ。

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