5.07.2013

[film] 警察官 (1933)

『限りなき鋪道』に続けて見ました。 昨年のこの企画からのアンコール上映、だそうな。

冒頭、都会に向かう車を検問していて、その中の怪しげな挙動の一人に寄ろうとしたところでその男と警察官伊丹(小杉勇)が学生時代の親友であることがわかって、この時点でその先の展開はだいたい見えてしまう。 その後、銀行強盗犯を追う同僚が殉死してしまったこともあり、伊丹は犯人の証跡 - 指紋採取にやっきになって、特に線上に親友の哲夫が浮かんでからの伊丹の捜査は熱を帯び、軒下に何日もぶっ通しで張り込んだりして大変そう。 職務に精魂を傾ける警察官たいへんだねえ、えらいねえ、というお話、或いはかつては親友だったふたり - 実直さを絵に描いたような伊丹と狡猾さを絵に描いたような哲夫、各々の風貌の違いも対照的 - の相克という話だけだと、ノワール的な暗さと緊張はあるものの、それだけではねえ、だったのだが。

午前1時きっかり、警察が犯人一味のアジトに乗り込んでいくラストの大捕物のとてつもなさにぶっとぶ。
画面全体に広がる夜の闇、そこを切り裂いて奥に延びていくサーチライトの光、悪夢のなかのような屋根づたいの逃亡と追跡のありえないスピードとそれ故にすべてが止まって見えてしまう底が抜けた浮遊感と恐ろしさと。
ギャング団に一丸となって立ち向かう警察組織の活劇をダイナミックに撮ろうとしたのだろうが、実際にはそれ以上の、なんだこりゃ、みたいなイメージの暴走を生んでいる。
ワイマール期の実験映画からの抜粋、と言われてもわからないくらいに変てこで、しかしかっこいいったらないの。

そうか、アンコールとはこれだったのか、と思った。
ラストのあそこだけ、全く別の音楽つけたらおもしろくなるねえ。

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