5.10.2013

[film] ダークシステム (2009) + ダークシステム2 時の牢獄 (2012)

5月3日、4連休の最初の日の晩、オーディトリウム渋谷で見ました。上映最終日だというし。
中編ふたつで、池袋でやっていた『完全版』とおなじ、らしいが、なんでタイトルをバラしたのかはわかんない。

「ダークシステム」

登場人物は加賀見と西園寺の親友同士の男ふたりとユリ、のさんにん。
場所は海辺と公園と加賀見の部屋と西園寺の部屋、ほぼこれだけ。

加賀見はユリとつきあおうと思ったその矢先、親友の西園寺にユリを取られちゃって、ぷるぷるあったまきてふたりの仲を引き裂こうとする。 どんなカップルにも隙はある、それを見つけてユリをモノにするんだ! と最終兵器「西園寺クラッシャー」(こんなの憶えていてもしょうがないのになんで..)を開発してユリと同棲する西園寺の部屋に置いてくる。

「そういうことだぁ!」とか「これでまちがいなし!」みたいなガキの思い込みでどこまでも暴走する加賀見とその企みを全て見越してダークな世界からせせら笑う西園寺、どっちでもいいんだけど、の顔でぼーっと突っ立っているだけのユリ。 

最後のしゅんかんに西園寺クラッシャーが炸裂して、加賀見は勝つ。
だがいったい何に? (というのはもちろん聞いてはいけない)

「ダークシステム2 時の牢獄」

登場人物はひとり増えて、ほんのすこしだけ豪華になった(ように見える)。 加賀見の髪はどうでもいいパーマに変わっている。

ユリとの結婚を考える加賀見の前に、高校の頃からユリのストーカーをやってて、トム・クルーズの熱烈なファンである「ファントム」(トムのファンだからファントム)が現れる。 ファントムはタイムトラベルの実験中に「10年後に現れるから」と消えて、その言葉のとおり、10年後にユリの前に現れる。 制服姿のまま…

科学のレベルは上で、しかもお金持ちなのでユリに贈り物攻勢をかけるファントムのまえに加賀見と西園寺(死んでなかった)はかなうわけがなくて、ユリは例によってなにも考えていないので、まじで絶体絶命になるの。
ダーカー・ザン・ダークシステム、であると。

ものすごくスケールの小さい世界で炸裂する食うか食われるかの恋愛バトル、普通こういうお話はあとちょっとだけ汎用的な寓話みたいなところに落ちて、みんなでうんうんわかるかもおかしいや、て笑っておわるはずなのだが、こいつはちょっと違ってて、どこまで行ってもレベルの低い虫みたいな争いが延々続いていく。 わざとやっているのだとしたら偉いかも、という気もすこしだけしたのだが、どうもそうではないかんじがする。 なんの作為もなく果てしなくバカで哀れな中二レベルの脳みそとその業がべたべたと垂れ流されている。

ダークシステム、といったときに想起される魂の闇とか出口なしの彷徨いとか、そういうのは一切ない。
せいぜいゲロ吐いて「さいてーだ!」とか「おぼえてろ!」とかそういう状態が性懲りもなく繰り返されているだけで、その救いようのないループをいう、のかもしれないけど、救ってやりたいとは決しておもわないね。
 
あと、ここで描かれている世界は、前の日に見た"Stemple Pass"の世界とおなじかんじかも。
あの主人公(カジンスキー)が死ぬほど嫌悪して手作り爆弾を運んでいった"Technological Society"とここのダークシステムは間違いなくどこかで繋がっている。 とっても不謹慎だけど。 
でもリアル感でいうと、ダークシステムのが上だったかも。 なんたってほんもんの西園寺クラッシャーがシアターに置いてあったし。

カジンスキーが20年かけてあれこれやっていったように、この映画もそれぐらいの時間をかけてどんどんダークになっていってほしい。
でもバカのままじたばた、ていうのが理想で、そこまでいったらちょっとは感動する、かもしれない。
でもつくづく、箸にも棒にもひっかからない男子映画だねえ、これ。

Subway CinemaのAsian Film Festivalで上映すればいいのに。

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