2.19.2013

[log] February 17 2013 - London

ロンドンには17日の夕方着きました。 ぜんぜんあったかいのでつまんない。油断ならないけど。

ロンドン行きはCMでやってる新しい機材かと思って楽しみにしていたらそうではない古いやつだったので、思いっきりがっかりした。
これだけでももう乗るのやめて帰ろうかとか思って、でもそこは我慢して、ふて寝しながら映画でも見るか、だったのだが2月に入ってから3回目の飛行機だったのでもう見るやつは殆ど残っていなかったりする。

それでもごろごろしながら3本見ました。

Der ganz große Traum (2011)   
直訳すると 「とっても大きな夢」。
英語題だと "Lessons of a Dream" 。
邦題だと、『コッホ先生と僕らの革命』(... なんでこうなっちゃうの?...ばっかみたい)

19世紀の終わり頃、ドイツの小学校に初めて赴任した英語教師がサッカーを紹介しようとしたら、いろんなとこで衝突とか軋轢とかがあって大変だった、という実話ベースのお話。  サッカーが全世界に広がっていった背景にはこんなこともあった、というのは教育、というテーマと併せて感動したいひとには感動的なことなのかもしれないが、興味ないひとにはべつに、ふーん、て。

それよりも、いろんな子供がいていろんな親がいて、支配者層の強権的な父親とその息子、貧しい労働者層の母子、などそれぞれの葛藤と和解を"Breakfast Club"ぽく描いたとこ(ほんのちょっとだけどね)のほうに惹かれた。

サッカーって結局のところ、ガキの球蹴りだったんだよね、それがあそこまで... というだけのお話しなのかも。  「革命」の要素は微塵もないです。

The Silent War 「聴風者」 (2012)
監督はアラン・マックとフェリックス・チョンという「インファナル・アフェア」(見てないや...)組の人達で、トニー・レオンとジョウ・シュンが主演。  中国共産党と国民党が熾烈な争いをしていた時代、共産党の諜報機関701の女スパイ - ジョウ・シュンは任務の遂行中にピアノ調律師の元で働く盲目の男(トニー・レオン)の驚異的な聴力にびっくりして雇いいれ、敵方の電信傍受をやらせるの。  彼は長波無線のノイズの海のなかからモールス信号を選り分けて、その音のタッチから、どんな奴がどんな場所でそれを叩いているのかまで特定することができて、その情報を元に相手方のスパイ「重慶」を追い詰めていくのだが... というお話し。

派手な仕掛けはあまりなくて、過酷で非情な諜報活動(スパイというよりこっちのかんじ)の世界に生きる男と女をしっとりと描いていてなかなか。 こんな世界が一時期あった、ということが微細な音の雲のなかから立ち上がる。

トニー・レオンは、殆ど目の演技のない(できない)状態であるのに、おそるべし、であった。
あとは脇役の人達もそれぞれに素敵で、みんな無表情で寡黙で、特に運転手のおじいちゃんとかよかった。

Hotel Transylvania (2012)
モンスターがいっぱいでてくるアニメかと思って見たら、ただの、いつもの、アダム・サンドラー映画だった。
ドラキュラさんがモンスター用のホテルを経営してて、そこは「危険な」人間が入ってこれないとこにあるのでモンスター達には人気スポットで、そこで愛娘のメイヴィスの118歳のお誕生会をやるのでゲストのモンスターがいっぱい来ているとこにジョナサンていう人間の若者(ぼんくら)が紛れこんでしまう。 で、なんとか追い出そうとするのだがメイヴィスとジョナサンが互いに一目惚れしてしまったのでさあ大変、になるの。

ドラキュラはアダム・サンドラーの昔からあるネタそのままだし、パラダイス = ハワイ志向もそうだし、機内アナウンスのとこはもろ"The Wedding Singer"だったりするので、あんなごちゃごちゃやかましいアニメにする必要なかった気もするが、やりたかったのでしょう。
ゴスのメイヴィスと西海岸のジョナサンの組合せがちょっとすてきなのと、いくつかのモンスターとかキャラは楽しいの。 ネズミのエスメラルダとか。

あと、スリップノットはデスメタルじゃないからね >字幕

それからまだ少し時間があったので"Trouble with the Curve"の後半部分だけ。
この映画の主役って、Amy Adamsで、彼女の今後の人生が、キャリアも含めてぎゅーんてカーブを描く、そのさまを描いているのだなあ、とおもった。


2月の機内映画のメニューのトップである"Argo"についても書いておく。
日本では1月の渡米の前日、1/26に渋谷で見ていて、どうしたもんかなー、と。
おもしろいし、はらはらどきどきのちゃんとしたエンターテイメント映画だなあ、Ben Affleckはもう立派な映画監督だなあ、と思いました。
バカみたいなハリウッド、そこで企画されたしょうもない嘘の、でっちあげ産業としての映画、が結果的に人質の命をぎりぎりで救った、という冗談みたいな話。 うまくやったもんだねえ、よかったねえ、でよいのか?よかったのか?

今回の人質事件を引き起こした中東のひとたちの尋常でなく強い怒り、それは途切れることなく今までもずーっと続いて治まることは決してなくて、その矛先が「アメリカ」であること、ぜんぜん基本姿勢と態度を変えようとしない「アメリカ」にあることは小学生でも知っている。  そういう中で、こういう映画を、史実であるとはいえ(史実なんだからいいだろ、みたいなかたちで)、リリースしてしまうことにものすごい違和感を覚えた。 "The Town"で、故郷ボストンのすれっからしの連中を描いたときの、あの暖かい眼差しはどこに行っちゃったのか、ということなの。 いつまでこんなことを厚顔無恥に続けていくのか(→ アメリカ)、と。


空港について、Timesの日曜版買ったら、Cultureの冊子の表紙がJudd Apatowさんだった。
その冊子に載っていた演劇の告知(↓)。 みたいー。 M & Q。
http://www.michaelgrandagecompany.com/whats-on/#peter-and-alice_page0

ついでに、Record of the Weekは、Nick Cave & The Bad Seedsの新譜、他にはMark Kozelekの"Like Rats"のレビューもある。 これ、メジャー新聞の日曜版なんだよ。

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