11.03.2017

[film] Daphne (2017)

10月の21日(なんてこったいもう11月かよ)の土曜日、BloomsburyのCurzonでみました。

ロンドンに独りで暮らす31歳のDaphne(Emily Beecham)がいて、レストランで料理作っててスーシェフを目指したりもしているようだが、基本は日々をお気楽に生きてて、バーで知り合った男と寝ては離れてそれきりでじゅうぶんで、タバコもドラッグもあったらするし、暇でぼーっとしているわけではなくてそれなりに忙しそうではあって、病気の母親が心配してちょこちょこ家に見にきたりするのだが、平気だからだいじょうぶだから、って寝る前にシジェクを読んだり、恋愛の話になるとフロイドを持ち出して煙にまいたりしている(相手はあきれて寄ってこない)。

そんなある日の晩、帰宅途中に小さな雑貨屋に寄って買い物をしていたらいきなり強盗が現れてレジのひとをさっと切りつけて逃げてしまう。 彼女は救急車を呼んで出血で震えはじめたレジのおじさんに家族の写真を見せたり介抱してあげたりするのだが、そこから先、彼はどうなったのか。 死んじゃったのだろうか? (そこは彼女に知らされない)

警察からはそういう目にあってしまった人が今後のトラウマにならないためにセラピストを紹介されるのだが、彼女はぜんぜんへーきだから、ととりあわなくて、でもそれ以降、彼女のなかでなにかが壊れてしまったようで、荒っぽくなって対人関係を始めとしてぼろぼろになっていってどうすることもできない。 これはちょっとやばいかもと思って一応セラピストのところに行ってみるものの、やっぱしなんか違うと思って喧嘩みたいになって、更に悪化していったり。

Daphneのような女性がほんとうにいるのか、どれくらいいるのか、はわかんないしあまり興味もないのだが、彼女がここで見せているような将来を楽観してて(ナメてて)、でもシニカルで、他人も愛も恋もなんかどうでもよくて、夢とか目標なんて雲の上の遠くにあるし、漠然と不安はあるけどどうせ死ぬときはひとりなんだからしょうがないじゃん、どうしろってんだ? みたいに日々を過ごしているひとの眼差しとか歩き方、イメージ、というのはとてもよくわかるし、だからそんなふうにいるんだろうな、と、それが描けているだけでじゅうぶんだと思ったのと、終わりのほうでゆっくりとなにかが上向いていく兆候とかかんじの描きかたも悪くない。

彼女が意識的に変わろうと思って変わったとか素晴らしい出会いが彼女を変えたとか、そういうふうではなく、彼女は強いとか弱いとかそんなこともどうでもよくて、起こったのか変わったのかなにかがあったようだけどそんなの知りようがない、けど、なんだか変わったみたいよね、といったところを微細な表情とか口調のかんじから読み取ろうとして、その距離の取りかたはDaphneの像を描くとても正しいやり方のような気がしてよいと思った。

Hollywood Reporter誌のレビューでは"Looking for Mr. Goodbar meets Kenneth Lonergan's Margaret on the streets of 21st century London"とあって、ああそういえば"Margaret"(2011)のかんじはあるねえ、と。 これほんとうに素敵な作品なんだけど、なんで日本では公開されないのかしらねえ。

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