7.07.2017

[film] Kramer vs. Kramer (1979)

暑さがぶりかえしてきたねえ。

2日、日曜日の夕方、BFIのDustin Hoffman特集のなかの1本で、みました。 35mm上映。

これ、日本で公開されたとき(80年の春? 確か公開初日だった)に有楽町で見ていて、たぶん、"The Graduate"と"The Deer Hunter"を続けて見ていた頃、それに出ていたふたりが出ている、程度だったのではないか。 

大手の広告代理店でADやっててうまくいっているTed (Dustin Hoffman) は帰宅すると妻のJoanna (Meryl Streep)にあたしもう無理で我慢できない出ていくから、て突然言われて、翌朝から息子のBilly (Justin Henry)の面倒を見なきゃいけなくなる。家事も育児も学校の送り迎えもやったことなかったのでとっても大変で、それに伴って会社の仕事は遅れがちで没頭できなくなるのだが、いろいろちゃんと廻せるようになってきた頃にJoannaから子供と一緒に暮らしたいとまたいきなり言われてふざけんな、て怒鳴ったら裁判起こされて、丁度そのタイミングで会社をクビになったりしたこともあり、結局裁判には負けてBillyはJoannaと暮らすことになって、TedとBillyがお別れする日がやってくる。

最初に見た頃には、これがNYのお話だなんてわからなかったし、言われたってNYがどこにあるかもわからなかったし、Tedがどんな仕事をしているのかもわからなかったし、親権なんて言葉もわからなかったし、フレンチトーストをあんなふうに作る、というのも知らなかったし、トレイの上でくちゃくちゃ切ったりしているあのへんな食事はなんだ? とか謎だらけだったと思う。 のだが、すごくおもしろかったの。 田舎の高校生(当時)になにがそんなに訴えてきたのかわからんが、自分のいまいる世界とはぜんぜん違う都市の世界がそこにはあって、違うからといってそこでも夫婦は喧嘩したり子供を取りあったり、それで子供は泣いちゃったして、それらが淡々と裁判で処理されるくらいにふつうに起こったりしているんだな、とか。

改めて見てみると、カメラはずっとTedの立場と目線で動いていくので、Tedはあんなにがんばってよいパパになったのにかわいそう、に見えてしまって、他方でJoannaもやつれててかわいそうだけど、彼女が行動に移すまでに見たかもしれない孤独や絶望は隠されていて、BIllyを育てる適性や環境はどっちがどう、という観点では公正に描けていないじゃん、とか言えるのかも知れないが、これはもちろんそういう証拠映像集みたいなもんではなくて、子供をめぐる夫婦間の諍いは例えばこんなふうに転がってエモのドラマを形作ったのだ(70年代末には)、とかそういうお話なのだろう。

でも子供部屋の壁紙とか、だいじなんだよね。 ていうところに話がいったのはいいなーって。
アパートの壁紙文化、ってあるの。

カメラはNéstor Almendrosなのね。 ダイアログを妨げない柔らかさと落ち着きがヨーロッパ映画のそれだねえ。

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