3.27.2015

[film] Song One (2014)

20日金曜日の晩、ぼろかす状態で六本木で見ました。
「ブルックリンの恋人たち」 - うちひとりは別にブルックリンじゃないけど。

若者Henry (Ben Rosenfield)は、地下鉄の通路(Lの6th Aveのとこ)で弾き語りして帰る途中で事故にあって昏睡状態になってしまう。 その頃姉のFranny (Anne Hathaway)はモロッコでフィールドワークとかやってて、その知らせで飛んで帰るけど弟はぴくりとも動かない。 ミュージシャンになりたがっていた弟と喧嘩ばかりだった姉はかつてのやりとりを悔いて泣いてばかりなのだが、弟の部屋を整理していたらJames Forester (Johnny Flynn)ていうSSWのポスターとかCDとかが目について 、彼のライブのチケットまで出てきたので行ってみることにする(Bowery Ballroomに)。

そいつのライブを見て聴いて、物販コーナーから引きあげようとする彼に、ひょっとしたらと声を掛けてみて、でも彼は弟のことなんか知らなくて憶えていなくて、でもまあいいか、と。

Henryの手帖や記録をぜんぶ見て、彼が目を覚ましそうな声、音、匂い、なんでも運びこんで傍に置いて、めそめそ泣いているとJames Foresterが現れてやあ、とかいう。彼がベッドの傍らで歌ってくれても弟の目は開かなくて、他にすることもないので一緒にライブに行ったり食事したりして仲良くなっていくの。 いいなー。

こうしてSharon Van Etten見たり(いきなり出てきたのでわー)、そのあとでPaul Whittyの歌うCaetanoの“O Leãozinho”聴いたり(なつかしくて泣きそう)、かつてHenryが追ったり浸ったり目指したりしていたに違いないNYに溢れる音をふたりで拾っていく。 それって弟のためというよりは彼女のためであり、新曲を書けなくなっていたJamesのためでもあり、音楽はそんなふうにそこらじゅうにある。 なにかを繋いだり癒したりするために、というより追えば追うほどふたりは世捨て人の役立たずになっていくようで、その後ろ向き加減がなんかよいの。 Henry起きてくれないし。

NYの音楽映画、として見たとき、こないだの、やたらポジティブで明るい”Begin Again”よかはっきりと暗くてだめなかんじで、でも、だからよい、というか、NYにてんでばらばら流れる音楽のありようをきちんと見せているのはこっちのほうかな。

あとプロデューサーのひとりがJonathan Demmeで、彼とAnne Hathawayというと”Rachel Getting Married” (2008)で、あれも家族のところに戻ったけど打ち解けられない彼女のおはなしだったねえ、とか。
Anne Hathawayが俯いて上を見上げるところ、本当に美しくて、”Interstellar”にもこういうとこが一瞬でもあったらなあ、とか。

唯一難点をいうと、Jamesのほうにオーラがなさすぎなのよね。Henryがなんであんなにこいつにのめりこんだのかあんましわかんなくて、そこだけ。 冒頭のHenryの歌のがよかったくらいだし ...

Bowery Ballroom、また行きたいようー。

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