3.17.2015

[film] Predestination (2014)

8日の夕方、日仏から移動して新宿で見ました。

もう何言ってもムダ、ってわかっていて、それでも言うけど、最近の(ずっと「最近の」って言ってるけど、特に最近の)シネコンの上映前の宣伝のうざったいこと、幼稚すぎて気持ちわるいこと、あれ異常だよね。エンタメ、アミューズメントを提供する場なんだから、ということなんだろうが、あれじゃまるでゲーセンだわ。ゲーセンにしたいんだろうけどさ。

冒頭、顔の見えない男と男の格闘があって、片方の男は顔を焼かれて、でもぎりぎり(の測ったようなタイミング)で姿を消して、次の瞬間に全く別の場所で保護されて治療を受けて、その男は組織の一員でタイムトラベルをしながらある事件 - 70年代にNYで起こった大規模な爆破 - の犯人を追っていることがわかって、治療を終えて顔が変わったそいつ - Ethan Hawke - は最後のカタをつける、と再び時の旅にでる。  97分。ちゃきちゃきしててよいかんじ。

で、Ethan Hawkeは70年代のバー(The Stoogesの”1970”ががんがん)でバーテンをしてて、そこに若い生意気そうなガキが入ってきてカウンターに座るので話を聞いてやると、そいつはUnmarried Motherていう名前でConfession Magazineにお話を書いていると。 更に彼の身の上を掘っていくと、自分はもともと女だった、とか言いだして、映画も彼女の赤ん坊の頃からの生い立ちを律儀に追い始めるのでどうするんだ爆弾犯は、とかはらはらするのだが、お話しとして落ち着くところには落ち着く。 たぶん。

誰もが疑いそうなこの若者と爆弾犯との関わりを大きく踏み越えたとんでもないところに話は拡がる、かに見えて実は、未婚 - シングル - 女性の告白話にぱたぱたと環が閉じていくスリルがたまんない。 スケールがでっかいんだか小さいんだかわからないけど、おもしろいことは確か。 自分はどこから来て、何に導かれて、どこに向かうのか。 時間について考えることは、結局その思考のパスに巻き取られていくことなのだと。 そして、どれだけタイムトラベルを重ねても決して解決することができないなにかとはつまり。

もうひとつはEthan Hawkeが要所要所でカセットに吹き込むタイムトラベラー心得みたいなやつ。
Richard Linklaterの複数の作品でじゅうぶんに時の旅人を演じてきた彼ならではの深い言葉を聞くことができる。

原作はRobert A. Heinleinの59年発表の短編 "All You Zombies" - 「輪廻の蛇」(読んでない)- で、読んでみたいけど時間がない。 タイムパラドックス問題あれこれについては、わたくしタイムパラドックス問題には立ち入らないよいこの会の会員なので立ち寄らないの。

構造的には“Looper” (2012)と同じようなかんじなのだが、あれよかわかりやすいかも。
でも、ああいう人生て、しみじみたいへんよねえ。

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