9.29.2013

[film] Byzantium (2012)

22日のごご、"Warm Bodies"のあと、六本木に移動してみました。

Neil Jordanが女ヴァンパイアふたりのお話を、廃れた海辺のリゾート街を舞台に描く、それだけでじゅうぶん見る価値があるというもの。

これもどこまでバラさずに書けるんだか。

ヴァンパイアの女ふたり、Clara (Gemma Arterton)とEleanor (Saoirse Ronan)がいて、Claraのほうが強そうでやかましくて、Eleanorはひっそりとおとなしい。 冒頭でClaraが追ってきた男の首をちょんぎってふたりが逃げた先が海辺の街なの。 そこで彼らが滞在する先がかつてByzantiumというホテルだった建物で、金稼ぎのためClaraはそこで娼館をはじめて、Eleanorは学校にいったり海辺を彷徨ったりしていて、そうしながら語られていく彼らの関係と過去、街の人達との間の波風と、やがてやってくる追っ手と。

死ねないまま生き続ける苦しみを断つ、或いは潮が引くように生を彼岸に送りだす、死ぬことができないまま200年過ごしたEleanorがやっているのはそういうことで、Claraは自身も体を売ったりしながらその時々の快楽を供してお金を稼いでいる。 そしてEleanorは自分の物語を紙に書いてはちぎって捨てている。

"Let Me In" (2010)の Chloë Grace Moretzのように闇のなかに身を潜めることもなく、Twilight Sagaのように積極的に課外活動をすることもなく、Eleanorは病人や老人の間に幽霊のように寄り添って静かに彼らをリリースする。 彼らの記憶はEleanorのなかに流れ込んでいくのか、Eleanoirの顔は既に老人のようで、確かに200歳も生きて向こう側に行けない疲労感と寂しさがあって、それでも決して助けを求めない。どうなるとも思っていない。

どうなるとも思っていないもうひとりがClaraで、彼女は面倒になると相手を片付けて、やばくなったら別のところに逃げるだけ。 それはそれでかっこいいの。

こういう対照的なふたり、でも決して運命に抗わなかったふたりにやってくる追っ手のことは、書いたらつまんないので書きませんけど、ふうんー、だった。 そうかーそうなのかー、だった。
見事な女性映画でもあるのね。

追っ手のひとりであるDarvellを演じているのは"Control" (2007)でIan Curtisだった彼。
Claraを演じているのは"Hansel & Gretel: Witch Hunters" (2013)でWitch HunterのGretelだった彼女。 どっちにしても魔界に首をつっこんでいる。
でもなんといってもすごいのはSaoirse Ronanさんで、200歳のヴァンパイアである19歳の高校生、を見事に演じている。 彼女、本当にそうなんじゃないか。

脚本は"Jane Eyre" (2011)を書いたMoira Buffiniさんで、すばらしいねえ。

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