8.23.2015

[art] 藤田美術館

15日の午後、髪きったついでに六本木でみました。なんとなく。

『藤田美術館の至宝 国宝 曜変天目茶碗と日本の美』

大阪の藤田美術館のことは知らなかった。 Frick CollectionとかGuggenheimとかと同じく、時代の変わりめに成りあがった実業家が収集した美術品を展示しているらしい。 で、ここのは明治維新後、廃仏毀釈によって仏教美術品が失われることを危惧した創業者の藤田傳三郎が始めたのだ、と。

「日本の美」、こんなにすごいんだぞ、とか言う前に、当時の政府はこんなのをぜんぶゴミ箱行きとか海外流ししようとしていた、ていうのをしっかり言おう。 政府の文化政策にろくなもんがないのは今に始まったことではないが(別に文化だけじゃないか ... )、とにかくあんたらが威張れば威張るほど、恥ずかしくて悪寒と発熱と嘔吐がいっぺんにやってきてしょうがない。 あんたらのいう「美しい」はいつだってゴミ以下だわ。

天王寺動物園でやっていた戦時下にやむをえず処分した(=国が殺した)動物たちの展示と同じように、国家が過去に潰そうとした/破棄した美術品の展示(実物なければ写真でも)をやってみればいいんだよ。

というのとは別に、見るものは見ていく。

入り口すぐに快慶による「地蔵菩薩立像」。ちっちゃいけど、驚異的なフォルムとバランス。そのバランスのありよう、というか感覚がいつ頃から我々にとってもそういうものとなったのかとか、これはそんなふうに「認識される」ものではないのだな、という凄みがありあり。 菩薩さまの一撃。

そしてこの展示のメイン、「曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)」のとてつもないこと。
茶道具関係はぜんぜんわからないのだが、お茶碗の上に浮かびあがった宇宙というか、呼び込まれた宇宙というか、そんなGalaxyの入り口がそこになぜか現れてしまった、ようなかんじ。星空や海原をいくら眺めていても飽きないのとおなじ感覚が襲ってくる。 闇に近い碧、藍、の奥というか向こうでなにかが瞬いているの。 おそらく、ちょうどAvengersのあの石ころとおなじ材質なんだとおもった。

(気をとりなおして)これの上に何を盛るべきか、をずっと考えていて、白飯じゃないよねえ、とか、イカスミのリゾットかなあ、とか。 茶碗蒸し … とか。 コンテストとかやってみればいいのよ。

あとは、藤田傳三郎の最後の収集物件だったという「交趾大亀香合」。
そうか、最期にそんなにこの亀がほしかったのか … て思った。

あとは、竹内栖鳳のでっかい「大獅子図」 (1902)にもうっとりした。
あのでっかいあんよの裏の肉球はどんなんだろうか、て。

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