11.23.2012

[film] 2012 act.5 (2012)

ぜんぜん通うことができなかった爆音3D。 せめてこれくらいはー、と14日の晩、吉祥寺に。

牧野貴 ×『2012 act.5』ライヴ上映  + 『Still in Cosmos』。

これは3Dメガネを使った3D映画、ではなくて、2Dでも見ることはできて、でも片目側だけにフィルターが入ったメガネを掛けることで画面の見え方が変わって飛び出して見える、と。
これ、プルフリッヒ・エフェクトていう片目を薄暗くすることで生じる知覚の時間差でもって横移動映像を立体的に見せるやつで、こういうのがあるのは知っていたけど、やってみるのは初めてだった。 どきどき。

紙メガネ、フィルターが入ったほうを利き目に、ということで自分の利き目は左なのでそっちにつけるのだが、この左側のやつは、ぐらこーま、でぼろぼろなので、はてどうなるんじゃろ、だったが、だいじょうぶだった。

さて、最初の『2012 act.5』は、上映のたびに追加再編集されていく作品で、これが今年の5回目、残りあと2回の上映を経て、作品として完成するのだという。途中でフィルムがなくなってデジタルに移行したりいろいろあった、と上映前に監督が言っていた。
音楽/音響はライブで監督自身が演奏する。

3Dのように目の前にびゅんびゅん飛び出してくることはないのだが、じーっと見ているとスクリーンの表面がでっかいゼリー状の厚揚げみたいに膨れあがってせり出してきて、その表面でいろんなのが蠢いたり涌きだしたりする。 うまく言えない…

遠くで車の音が聴こえたあたりから画面全体の動きとその速さが尋常ではなくなり、前面にはりついたクラゲさんの触手が多段の多層にばりばりめりめり潜りこんで伸びきったあたりで分裂しそれぞれが共食い喧嘩をはじめる。 うまく言えない…

音は、その粒子が画面上の色のつぶつぶに乱反射したり合体したり、音像と映像のリンク、なんてちゃらいやつじゃない、音がそのまま光であり光がそのまま音となる、そいつらが正面衝突して現れる瞬間をスローモーションの横移動立体効果で見せてくれるのだった。

何分間やっていたのかわからんが、あと3時間やっててもぜんぜんよかった。

続く"still in cosmos" (2009)は、2009年の爆音映画祭でも見ているのだが、そのときはプルフリッヒ・エフェクトなしだった。 今回はエフェクトありの爆音で、もうこれはひたすら圧巻、問答無用のクラシック、マスターピース。 Jim O'Rourke + Daren Gray + Chris Corsanoのトリオによる圧力鍋のなかで沸きたつ音の渦が鼓膜に襲いかかってきて、どこまでいってもcosmos、鍋の壁を無限に押し拡げていくcosmos、の勢いがプルフリッヒの大波で更にぶっとくなってやってくるのだった。

2本あわせて1時間強くらいでしたが、終わったら目がぐるぐるでまっすぐ歩けなくて、これはこれでたのしいのだった。

これ、シルク・ドなんたらとかの数百倍スペクタクルでおもしろいんだけど、なんでお客さんあんま入ってないのかしら。

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