11.05.2012

[art] Le Préau D'Un Seul

3日、土曜日の午後2:30くらいに西巣鴨まで行って、みました。

F/T(Festival Tokyo)ていうのも、あんまよくわかんないのだが、毎年なんとなく続いているねえ、TIFFよりはまだ好感がもてるかも。

フランスのJean Michel Bruyère /LFKsによる『たった一人の中庭』。

にしすがも創造舎ていうのは、元学校だったとこで、これまでのF/Tでも演劇とかで何回か行ったことがあるのだが、このインスタレーション、というか出し物(お化け屋敷みたいな?)は、旧校舎と体育館をぜんぶ使ってでかでかとやっている。

フランスの不法移民の収容所で合法/非合法に行われていたと思われることを「アート」の様式でもって白日の下に曝すこと。
これによって「現実」と「アート」の境界、Legal Alien - Illegal Ailenの境界、「平民」-「移民」-「難民」の境界、無意識下にあるいろんな「差別」うんたら、グローバル経済下における「国境」と国家観・歴史観あれこれ、国家における監視機関としての共用施設のありよう、などなど、ものすごくいろんな要素が多層的に重なり合ったまま、だれも責任取ろうとしない状態で苦しんで困っている人たちが沢山いるんだって、というあたりを抉りだし、そこをなんとかすべく、元「学校」という施設にでかでかと張り出された特大のアジびら、というか施設をまるごとアジびらにしようとする試み。

(旧)教室ごとにやっていることは分かれていて、収容所の各機能に対応していて、最初に入った部屋で羊のおばけみたいなかぶりものをしたひと(ではなくておばけ)がどぅんどぅんていうリズムに乗って怪しく踊ってて(Dance Floor)、その横の暗室(Dark Room)では、同じくお化けの皆さんがCBSのドラマの音声にのって口パク演技をしてて、要は彼らも楽しんでいますだいじょうぶです、と。

でもその反対側の教唆する部屋(Egging On Room)は家庭科の教室で、もうもうの湿気のなか、言うこときかないとゆでたまごにする、だか、ゆでたまごしか食わさない、だか、そういうソフトボイルドな拷問が行われているようで、その次の入浴する人々の部屋(Bather's Room)では、タイマー起動で水回りのあれこれも完全にコントロールされていて、ぼんやりこわい。

3階にあがってみると、Political Bureauていう学習室 - 政治オフィスがあって、そこではバナーとかビラを作りながら議論したり勉強したりのパフォーマンスがリアル進行中で、黒板には重信房子とか若松孝二とか。ビデオで上映されていたのは、JBのキンシャサのライブ?

その隣は更衣室(Fitting Room)で、床に牛糞のカーペットが張られた暗室で、一度に3人しか入れないらしく、よくわかんないけど20分くらい並んでみる。 そしたらお化けの衣装をきてコスプレができるという趣向だったようで、でもひとりでそんなことしてもしょうがないから2分くらいで出る。

それから体育館にいくと、そこが収容所テントで、最初の長く仕切られたとこで働く職員 - 医者とか料理人とかがお仕事してて、お料理とかはほんものみたいに手がこんでて、たまに音楽が流れてそれにあわせて踊ったりしてて、その奥のいちばんでっかいスペースが実際の収容スペースで、床には梱包で使うプラスティックの繭みたいのがざーっと敷きつめられてて、自動で動く介護ベッド(下にスピーカーが仕込んであって変な音が)が20くらいあって、豚の血で絵を描く機械があって、ブランコとかもあって、窓の向こうは日本のお墓(たぶん仏教。なむー)で、よくもまあここまで、というかんじ。

合法移民と非合法移民の間の線、その線を定義して、その線を維持監視し、その線上でヒトを仕分け、更にその作業を正当化しつつ隠蔽する国家の仕掛け、その全容をぶちまけるにはこれくらいでっかい仕掛けが必要だったのね、と。

ブランコに乗ったり、繭繭に埋もれて少し寝たりだらだらしたのだが、なんかとっても居心地がよいので困った。
それこそが体制側の思うツボなのだ! がっこだってそうだったじゃんか! とか思わないでもなかったが、とりあえずアートだからいい。病みあがりだから許して、とか。

4時過ぎくらいに、奥からおばけの人が二匹現れて、拡声器マイクを手に遠吠えみたいなあうあうパフォーマンスをはじめた。
音響は向こうのほうで、作業員のひとがMacで操作していたが、音のかんじは昔のTGにあったようなかんじので、悪くなかった。

夕暮れの中庭も貼りだされたビラがピンク色にはためいてて、素敵でしたわ。
この中庭では強制送還のパフォーマンスも行われるという - ここにきて「たった一人の…」であることがじんわりとしみてくる。

いや、だから素敵とか思っちゃいけないことはわかっているのだが、作った人たちをここまで追いこんでいった怒りとか恨みとか、すごいもんだねえ、と。 これで3000円ならべつにー。

帰宅して着替えたら床にあった繭が3つくらい落ちてきた。
あの後、ライブでぎゅうぎゅうだったのに、体のどこに挟まっていたのか?
ひょっとしてなんかマークされちゃったりしてないか、とか。
 


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