8.01.2026

[film] Sois belle et tais-toi! (1981)

7月26日、日曜日の午後、ル・シネマ 渋谷宮下の7Fで見ました。

英語題は”Be Pretty and Shut Up!”、邦題は『美しく、黙りなさい』(「黙りなさい」に赤の取り消し線)。

翌日の船便到着を前に、お片付けはよいのか? という声もあったが、『美しく、黙りなさい』って言われた。(美しくない)

制作から50年を記念しての劇場公開で、今後パッケージ化される予定はなく劇場上映と自主上映のみに限定されているそうなので、とにかく見に行くしかないのよ。

監督であるDelphine Seyrigが1976年に23名のフランス人、アメリカ人の女優、映画人たちに対して実施したインタビューをCarole Roussopoulosが撮影して、編集をCaroleとIoana Wiederがして、1981年に公開されている。

ボーヴォワール視聴覚センターとフランス国立図書館が主導して、2022年に修復~公開したもの、とのことで、でもどこかでなんか見た記憶が、と思ったら、2020年の初め、マドリードのMuseo Nacional Centro de Arte Reina Sofíaでの企画展 - ”Defiant Muses: Delphine Seyrig and the Feminist Video Collectives in France in the 1970s and 1980s”で7つのモニターを横並びにしたインスタレーション作品として流れていたことを思い出した。他には同じモニターでChantal Akermanの”Woman Sitting after Killing” (2001) - Jeanne Dielmanがあの後に座っているシーンを延々 – も流れていた。

質問はふたつ、「もしあなたが男性だったとしても、この職業(女優業)を選びましたか?」、「他の女優と友好的な場面を演じたことがありますか?」 - これは誘導のようなもので、最初の問いに対しては「いいえ、男性だったらもっといろんな選択肢があったはず」になるし、次の質問に対しては「いいえ、求められるのは常に男性とのインターアクションばかりだった」になることは容易に想像がつく。なぜなら我々が商業映画として接する殆どの映画は、「男優との間で」女優として輝く – その存在を最大化、最適化する形でその姿を表に出してくるものだったからで、この聞き方は動物園の動物にもし野生にいる別の動物だったら… って聞いているのと同じではないかと。

なので、殆どの女優が、それは面白い質問ね! と言ってから質問の答え以外のあんなことこんなことを嬉々としてとめどなく喋りまくるのがとにかくおもしろくて、でもそれらのおもしろい語りの背後に見える各自の業のようなものが固化していく「女性」という型の周辺に、あるいはこれに抗するかたちで立ちあがってくる何かが見えてくる。

あと、ここから、この50年で変わったこと、依然として変わっていないことについても考えないわけにはいかない。

あと、映画のなかで、Ellen Burstyn(..正確に覚えていない)だったかが語っていたEleanor Perryが夫のFrank Perryと作った映画 – ひとりの少女と4人の男が出てきて少女がレイプされてしまうやつ – って、2025年にBFIのFilm on Film Festivalで発掘上映された”Last Summer” (1969)のことだ! って少し自分内で盛りあがった。


Delphine et Carole, insoumuses (2019)

7月19日、日曜日の昼、日仏学院で見ました。

邦題は『デルフィーヌとキャロル』、タイトルを直訳すると『デルフィーヌとキャロル:反逆のミューズたち』、であり、”insoumuses”は、Caroleが立ち上げたビデオグループ “Les Insoumuses”にも繋がる。 68分の中編。

監督はCallisto Mc Nulty。 スイス生まれのCarole Roussopoulosが、1970年にJean Genetの勧めを受けて当時発売されたばかりのVideo Cameraを購入 – これを最初に買ったのはゴダール、次に彼女が、フランスの女性として初めて買った – して、Angera Davisのドキュメンタリーを制作、その後も人権擁護運動の様子をカメラに撮っていくなかで1976年にDelphine Seyrigと出会い、そこからは↑を含む女性の権利やフェミニズムをテーマにしたドキュメンタリー作品を沢山残した。 あと、↑を復元したボーヴォワール視聴覚センターもこれらの活動を通して彼女たちが設立したもの。

とにかく、デルフィーヌとキャロルのふたりが現地で、女性たちと一緒になって戦ったり議論したりしつつ記録していった70年代以降のデモの記録、TV討論の様子などが、げろげろになる点も含めてものすごくおもしろくて、↑にも書いたけど、この50年で変わったこと、変わらないことについて考えてしまう。

昨年、BFIで行われたLaura Mulveyの企画特集も、結構人が入っていたしすごくおもしろかったし、割とそういうとこに足を運んで見ているほうだと思うのだが、足元を見るとぜんぜん、なにひとつ変わっていないのでは… ってものすごく暗澹として、例えば、日本の映画女優にいま、”Sois belle et tais-toi!”の質問を投げたらどうなるだろうか? とか。

この国が得意としている「ガラパゴス」なのかもしれないが、ガラパゴス(の動物たち)だって環境に合わせて進化はしていくもので、これは適応する先を愚かなことに完全に誤ってどうにも動けなくなっているような…

でもとにかく、そういうのとは別に、見ていると不思議と明るくなれる映画だからー
渋谷宮下の特集上映でももうじきかかるらしいので、この機会にぜひ。

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