8月15日、土曜日の昼、シネマヴェーラのBilly Wilder特集で見ました。
監督はMitchell Leisen、脚本はCharles Brackett & Billy Wilder。邦題は『ミッドナイト』。
アメリカ人の踊り子Eve Peabody (Claudette Colbert)がモンテカルロですってんてんになった状態で土砂降りのパリに列車で着いて、そんな彼女を拾ってくれたハンガリー人のタクシードライバーTibor Czerny(Don Ameche)に頼んでパリじゅうのナイトクラブを回ってもらい、そこで仕事が見つかったら運賃倍払うから、って走っていくのだがそう簡単にはいかず、Tiborからは夜遅くなったしうちに泊まれば、って誘われるのだが、それはよくない、って別れて、ブラックタイでサロンのコンサートをやっているところに質札をチケットに見せかけて潜りこみ、身元がバレそうになったところでブリッジをやっている部屋に逃げこんでテーブルを囲んだら見事にボロ負けし、そこでなにかと助けてくれたのが謎の紳士のGeorges (John Barrymore)で、なんでなの?と思ったら彼の妻Helene (Mary Astor)とよい仲になりつつある富豪のプレイボーイJacques (Francis Lederer)をEveの方に惹きよせて、ふたりの仲を断ってほしい、成功報酬もだすよ、と。こうして「チェルニー男爵夫人」になりすましたEveは、リッツホテルで身バレの危険と玉の輿の間を綱渡りしつつがんばっていると、彼女のことが忘れられなくて運転手仲間を焚きつけて追っかけてきたTiborも絡まって勘違い/思い込みトライアングルが回りだして止まらなくなる。
ノラ踊り子、タクシー運転手、上流階級を跨って互いに足を引っかけ騙しあっていくスクリューボールコメディで、John Barrymore(Drewのおじいちゃんね)はもちろん巧いし、”Cocoon”(1985)が大好きだったDon Amecheも堂々としてて見事だし、なにより緩急自在なコメディエンヌとしてのClaudette Colbertの素敵なとこが前面に出ていて、全員のアンサンブルがとにかく楽しくてはらはらで、これだから昔のってすごいなーって。(National Film Registryにとっくに登録されていた)
The Bishop's Wife (1947)
8月17日、月曜日の晩にシネマヴェーラで見ました。
監督はHenry Koster、Robert Nathanによる同名Novella (1928)を原作に、アンクレジットでCharles Brackett & Billy Wilder組が参加している(後から書き直しで入ったらしい)。地味に凄い魔法を使っていそうな(いる)撮影はGregg Toland。 邦題は『気まぐれ天使』。
これはBFIのクリスマス映画特集で見たことがあって、見終わった後に客席みんなで拍手して、ふううーって鳥肌たてていたら隣にいたいかにもイギリス紳士ふうのおじさんから「いいでしょう?よいクリスマスを」って言われたことも憶えている。
司教のHenry (David Niven)がいて、妻のJulia (Loretta Young)と娘のDebbie (Karolyn Grimes)とでっかいわんわんが教会の横で暮らしていて、Henryは地域の大聖堂の建設資金集めに富裕層の間を日々奔走して家族のことを構う時間がなくて、そんな彼のところにDudley (Cary Grant)が現れて自分は天使なのです、って言って – でもJuliaとか他のひとには言わない - 彼の横できらきら奇跡のようなことをいろいろ施して去っていくの。
JuliaもDebbieもDudleyのことが大好きになるのだが、JuliaとDudleyはぎりぎりで恋仲にはならずに - Bishopの妻だから - 離れていく – あたりの切なさ儚さがクリスマスのそれと重なって素敵に降りてきて、でもそれだけじゃなくて、なによりも「みんな - 富豪のひとも貧乏学者も子供たちも - よいクリスマスをね!」の思いが雪のように淡い光となって覆いかぶさってくるところがたまんないのだと思う。
とにかくそのみっしりとした存在感も含めて明らかに怪しくてちっとも天使っぽく見えないCary Grantが自分は天使ですよ、って朗らかに告げたりするうさん臭さ、それを受けてぴくぴくしながらも(司教だから)毅然とやりとりしようとするDavid Nivenがたまんなくおかしくて、でもあんなふうでも天使で、この辺は“It's a Wonderful Life” (1946)と同じようにろくでもないけど天使は天使、なんだからありがたく思え、っていうのと似たようなものかしら?
8.27.2026
[film] Midnight (1939)
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