8.20.2026

[film] The End of Oak Street (2026)

8月14日、金曜日の晩、二子玉川の109シネマのIMAXで見ました。

邦題は『オークストリートの異変』。David Robert Mitchellの8年ぶりの新作で、プロデュースはJ.J. Abrams。
撮影は“It Follows” (2014)から一緒にやっているMike Gioulakis、音楽はMichael Giacchino。

1982年のミシガン州の郊外のOak streetに、Denise Platt (Anne Hathaway)とGreg (Ewan McGregor)の夫婦、Audrey (Maisy Stella)とBrian (Christian Convery)の子供たちと犬のStarbuckが暮らしていて、冒頭からごくごく普通のアメリカン・サバービアの昼間の光景があり、Gregは家族には言っていないが職を失って副業のピザ配達でごまかしていて、Deniseは夫を捨てる女性の小説を地下に籠って細々と書いたりしていて、そういうのも含めて家族も家屋もそこらにいそうなありそうな。

Deniseが変な植物を見つけて写真を撮ったら、それは数百万年前に絶滅したようなやつだ、って言われて、へーとか言っていると夜中に雷と嵐が鳴ってざわざわって一瞬逆立って静まり、Starbuckがいなくなって、探しに出た家族の前に驚愕の光景が…

J.J. Abramsだし予告にも少し映っていたので、恐竜/怪獣ものだとは思っていたが、出し方、見せ方も含めてあまりにシンプルにストレートに隣近所一帯がJurassic Parkになっちゃったよ、をやっていて、パニックをもたらす恐怖の滲み方、出し方も過去のDavid Robert Mitchell作品と比べたら雑で凡庸で、この辺が賛否の分かれているところなのだろうか。

とりあえず家に籠って窓に板を打ち付けて厳重にして何か聞こえたり揺れたりするたびに外を見てみるとあれらはどう見ても恐竜とか怪鳥とかで、でもどこからか恐竜が近所に湧いてでた、というよりは近所一帯が恐竜のいる場所と時間にスリップしてしまったらしい - Carl Saganを読んでいたAudreyは出現したワームホールによるものだ、と言ってみるがどうしてよいのやら見当もつかない。

やはりお約束通り、いなくなっていた犬のStarbuckが一瞬現れて消えたので、それを追ってBrianとAudreyは外に出てしまい、彼らを追ってGregとDeniseも外に出て、そこで改めて家族の絆が試されるようなことになったりしたら余りにもふつうすぎてそれは… って文句言おうと思ったらGregがあっさり食べられちゃったので、そこはよかった。 

不定期にきらきら光っては消えるワームホールらしき光源に向かって行ってみて、いちかばちかで飛びこんでみて... から先は割とふつうだったかも – というか、こんな異常事態に割とふつうに驚いてふつうに対応する、それが80年代前半の、こんな世界なくなっちまえー、に対する距離のとりかただったような。 AudreyがひとりでSteve Winwoodの"Valerie"を聴くシーンがとてもよくて、昔がよかったとかちっとも思っていないのに戻ってきて、って言ってしまう妙に外した屈折した思い、というか。同様にやってらんないー、の事態なのにRoxyの”More Than This”を口ずさんでしまったりとか。

彼のデビュー作“The Myth of the American Sleepover” (2010)を公開直後にNYで見た時からずっとある、よくわかんない理不尽な、乾いた郷愁のようなものが今回のでも吹いてきて、それが半端なサバービアのありようにはまって、それらは恐竜程度の異物ではびくともしないことがわかる。Night Shyamalan(撮影が同じMike Gioulakis)は同じくプレーンな風景に異物を持ちこんでどんでんを仕込むが、David Robert Mitchellのは、いるだけ、あるだけ、見ているだけで既に十分に孤立してて不穏でおかしい。 恐竜が家に寄りかかって交尾していたり、大亀が湧いていたり、白いでっかい無表情なヘビみたいのがぬーん、て家に入ってきて、いきなりパックマンみたいに口開けたり、映画のテーマとかどうでもよくて(よくない)、これらが夏の一夜のSleepoverで起こったらどんなに素敵だったろうね、とか。

ワームホールを抜けて1982年に行きたいよう。恐竜がうようよしていても今のこんな国よりよっぽどまし。

Audrey役のMaisy Stellaは”My Old Ass” (2024)でもワームホールから落ちてきた年取った自分と会ったりしていた... よね。

David Robert Mitchellの次作、“It Follows” (2014)の続きで”They Follow”だって…

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