8.24.2026

[film] Writing Hawa (2024)

終戦の日などもあったので、国立映画アーカイブの返還映画コレクションなども少しづつ見たりしている。

8月16日、日曜日の昼、ポレポレ東中野で見ました。 邦題は『ハワの手習い』。

ドキュメンタリーで、監督はNajiba Nooriと兄のRasul Noori。 バイデン政権がアフガニスタンからの米軍撤退を決め、それで息を吹き返したタリバンによるアフガニスタン制圧が始まり、2021年、それがカブールに来たところでNajibaはフランスに逃れる。映画は彼女の乗った軍用機がフランスに着陸するシーンから過去に戻っていく。

主人公は監督の実母のHawaで、13歳で30歳上の父と結婚させられNajibaを含む6人の子供を育ててきた。子供たちに自分と同じ道を歩ませたくなかった彼女は全員に教育の機会を与えて、こうしてNajibaはジャーナリストとなった。認知症となりほぼ床に転がっているだけになってしまった夫の世話はするとしても、自分の時間ができたHawaは文字の読み書きと民族の編み物の売買を始めようと動き始めて、これは娘がそんな母の正面と後姿を傍で記録していったもの。

まずはHawaの殆ど喋らない、笑わない、丸っこい姿に惹かれて、そんな彼女の佇まいから彼女の過ごしてきた歳月の過酷さを知るのだが、それ以上に学ぶこと、自分のやりたいことをやるんだ、って打ちこんでいく姿にうたれるし、お父さん(夫)以外に好きになった男性はいるの? という問いにあっさり「いた」って答えたり素敵で、やがてHawaは離婚した長女の元夫と暮らしてそこの家の抑圧から逃れてきた孫(Najibaの姪)のZahraを家に置いてあげて、一緒に買い物したり勉強したりしていくようになる(とても素敵な絵)。

でもアフガニスタンの情勢はタリバンの復活と共に酷いものに、昔と同じように女性への教育を禁ずる方向に動いていって、Najibaは国外に逃れ、引き渡される懸念もあったZahraも嫌だった実家に戻らざるを得なくなって…

ドキュメンタリーは、Najibaがフランスで暮らし始めたところで終わるのだと思ったら、その後のカメラを兄のRasulが引き継いで、政変後もどうにかやっているHawaの姿を映しだしてくれる – ここ、映像のトーンなどにギャップがないのがすごい。 変わらず床にぺたんと座っているHawaの姿にほっとするのだが、連れ戻されたZahraはやはり結婚させられてしまったと…

他の国のことだから、ではなく、ほんの100年前は同じように女性を扱っていた国としてなんか言ったりできないもんか、って国立映画アーカイブの返還映画コレクションでやっている「女性たちの姿」を見たりして思った。 いまのタリバンも内側では戦時下の日本政府と同じようなトーンなのではないかしら、って。


軍服を着た神様 (2025)


8月19日、水曜日の晩にポレポレ東中野で見ました。
日本のドキュメンタリーで監督は遠藤協、文化人類学者の藤野陽平との共作のような。戦争をテーマにした映画、というよりも宗教人類学の映画かも。

台湾の南に軍服を着た日本人の神様を祀っている祠などが50くらいある、ということでコロナ禍を挟んでふたりで現地に行って見たり調査したりした記録。

なんでこんなことに? ってふつうになるのだが本当に日本人の名前の実在した軍人 – 特に偉い位の人のではなく、ヒラっぽい - が祀られていて、現地に特別よいことをしたから、というわけでもなさそうで、現地の上空で米軍機と闘って墜落したけど、人家を避けて落ちてくれたので祀ったとか、海から何度も戻ってくる卒塔婆があったので祀ったとか、彼がタバコを吸っていたので毎日線香ではなくタバコをあげるとか、日本人の神様が憑依してお告げするシャーマンとか、神様は時代を経て昇格していくのだ、とか祀られる側も祀りあげる側もなんだか微妙におかしくて、そんなのが50… 宗教なんて外からみたらどれもそんなものかもしれないのだが、当時台湾は日本に植民地支配されていたのに、なんでなんで? とか一筋縄ではいかない。

祀る対象がアメリカでもヨーロッパでもなく日本の、というのがあるのであれば、やはり日本と台湾の歴史も含めた関係のなかで見ていった方が、と思っていると、九州の方では海に仏様を送り出す絵があり、台湾では海から流れてきた卒塔婆を神様にしている、とか。

宗教なんてこの程度の、外にいる人から見たらよくわかんない変な土着の営みの塊なのだ。歴史的な経緯とか地理や風土の条件など、いろんなものが作用して食の世界(それ食べれるの?なんでそんなものを食べてるの?など)と同じような土地や集団に根差した固有性や多様性をもつようになったものだから、それはそれは、って尊重しておけばよい、だけで。 

でもひとつだけ、こういう宗教(的な動き)を政治に持ちこむな、だけははっきりと。 持ちこんだ途端、それはカルトになるから(ここんとこずーっと、なんか見てる)。

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