8.18.2026

[film] One, Two, Three (1961)

8月11日、祝日の火曜日の昼、シネマヴェーラのBilly Wilder特集で見ました。

今回の特集チラシの表紙のスチール(カラーだけど、映画はモノクロ)に載ってて、特別料金が設定されていて、立ち見で通路に座るひとがでた。久しぶりすぎてこわくなる(まったく想定しておらず)。 邦題はWikiだと『ワン、ツー、スリー/ラブハント作戦』だって。

原作はハンガリーの劇作家Ferenc Molnárの一幕劇 - ”Egy, kettő, három” (1929)をI. A. L. DiamondとBilly Wilderが脚色している。 撮影中にベルリンの壁ができてしまったり、James Cagneyはこれを最後に暫く映画から離れてしまったりいろいろあったことを後から知る。そういう事情を知らなくても怒涛の高速・高濃度で撹拌されていくので特別料金はしょうがないな、って思ったり。

"Mac" MacNamara (James Cagney)は西ベルリンに駐在するコカ・コーラ社の幹部で、中東の事業失敗を挽回して、西ヨーロッパの統括拠点であるロンドンに赴任することを目指してずっと士気もテンションも高くて、秘書もお付きもそれに乗って(もともとナチス式に馴染んでいるので)職場は軍隊みたいに統率されている。

ある日、アトランタ本社の重役W.P. Hazeltine (Pamela Tiffin)から、17歳の娘Scarlettが西ベルリンに滞在するのでアテンド等よろしく、と言われる。

ところが現れたScarlettは東ドイツの極左共産主義者の若者Otto Piffl (Horst Buchholz)と結婚していて彼の反米思想に感化され、そのうち妊娠までしていること、さらに二人でモスクワに亡命しようとしていることが明らかになり、ふたりの結婚証明書を東ドイツで盗んで無効にし、それでもふたり一緒にいたいのなら、とOttoを浚って拘束して逆洗脳しようとして、そうしている間に親のHazeltineもベルリンにやってくると言うので、Ottoをまともに見える花婿にでっちあげようと、床屋靴屋帽子屋仕立て屋などを一式、期限の切られた戒厳令下の大パニックに膨れあがっていく。

次から次へと明らかになっていく驚愕の事実と、その反対にいる当事者たちの天然ぶりと、Macの怒涛のテンションにぶっとばされていく部下たち、ビジネス関係者たち、もうついていけない、って出ていこうとするMacの家族、などが東西ベルリンの溝をまたいで騙しあい引っぱりあい渦を巻いていって止まらない。恋愛要素はないのでrom-comのスクリューボールではなくて、ノリだけだと日本の無責任男モノのそれを冷戦間近の前線でぶちかましていて、なにしろヤンキーの無責任なのでびくともしない展開の強さがある。

これはやはりJames Cagneyのとてつもないパワーぶっぱなしの為せる技、としか言いようがなくて、それでもまだ余力あるみたいに見えるし、ラストのあのオチは、競合飲料メーカーのボードにいたJoan Crawfordに配慮したものだったのだろうか、とか。

どうでもいいけど、昔の駐在員はこれくらい大変だったんだろうなー、っていうのは想像できるのでそんなに荒唐無稽な話でもない、かんじがした。


Mauvaise Graine (1934)

8月10日、月曜日の平日だけど休日、シネマヴェーラのBilly Wilder特集で見ました。
英語題は”Bad Seed”、邦題は『ろくでなし』。

Alexander Eswayとの共同だが、これがWilderの初監督作となる。フランス映画。

1930年代のパリで、お金持ちの放蕩息子のHenri (Pierre Mingand)が父親に車を売られて勘当されて行き場がなくなり、売られた車を盗んじゃったことから修理工場の裏で暗躍する自動車窃盗団に加わることになって、そこにいたJean (Raymond Galle)とJeannette (Danielle Darrieux)の姉妹と仲良くなるのだが、窃盗団内でも目をつけられて、逃げ出そうとした時のごたごたですべてを失いそうになるが、最後は結局パパに助けてもらうろくでなし、と。

家族、仲間、恋人、親友、それぞれの間での情が絡んだ引っ張り合いと小競り合いが思いもよらない方に転がっていってあらら、になる辺りはWilderなのかも。でもまだ自然派、というか流されがちで、大ゴトなのか小ゴトなのか、イキっているけどちょっと弱い、かわいいかんじ。 おもちゃの車に付けられていたナンバープレートから居場所が知れてしまうところとか。

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