10.01.2024

[film] Girls Will Be Girls (2024)

9月21日、土曜日の昼、ICAで見ました。
インドのShuchi Talatiの作・監督による長編デビュー作、インド/フランス制作映画で、今年のサンダンスでAudience Award for Dramatic World Cinemaを受賞している。 学園ガールズ・コメディのようなのを想像していたら軽く蹴っとばされるかも。coming-of-ageドラマとして、地味だけどよい意味でわかりやすく見入ってしまった。

90年代、規律の厳しいインド/ヒマラヤのボーディングスクール(そんなのがあるとは、くらい知らない世界)で、16歳のMira (Preeti Panigrahi)は学業、素行お行儀全面で抜きんでている、って”Head Perfect”のバッジを貰って生徒の代表として朝礼で号令をかけるくらいによくできた生徒として、生徒たちに指導したり、先生たちからの信頼も厚く、みんなが誇りに思っていてどこに出しても恥ずかしくない。

ある日、外交官の息子のお坊ちゃんで背が高くてかっこよく見えるSri (Kesav Binoy Kiron)から声をかけられて、天文部で星を見て話をしているうちに彼ならつきあってみてもよいかも、になってくるのだが、親 - 特に母親の許可なしにつきあったりするのは難しい、と思ったので母Anila (Kani Kusruti)に命じられるまま彼を家に呼んで面接のようなことをして、母からは家のなかで会うのならよろしい、但しドアは開けておくように、と言われる。

こうして家のなかでふたりで会うようになり、オープンで積極的なSriに応じるようにMiraも性に敏感になってあと少し、くらいのとこまでいったりするのだが、いちいちふたりの間に割りこんでくるAnilaがうざくなってくる。AnilaもSriがお気に入りになってくれたのはよいこと、だけど彼とずっとおしゃべりしていたりレコードかけてダンスしたり昼寝してしまった彼の頭を彼女が撫でたりしているのを見た時はさすがに - 人の家に行ってあんなふうにすやすや寝てしまえるのか、もあるけど。 こいつ、お泊りでやってきた正念場の時も朝ぜんぜん起きないし – こんなやつはやめといたほうが...

理系で優秀なMiraは、自身の性の好奇心に対してもプレーンかつ真っすぐで、Sriとインターネットカフェに行って性の仕組みや初めてのについて勉強したり – でもそうしていく中で、Sriはこれ初めてではなく既に経験しているのでは? の疑念が湧いたり、階段の下で女生徒のスカートの下を盗撮していた男子生徒を学校に告発したり、優等生としての自分も前に出てきたりで、揺れている。 その揺れを母として敏感に感じている & 若いSriに少し惹かれているAnilaの視線 - 見るからにエリートっぽい夫は殆ど家にいなかったり - を絡めてMiraのどこまでもままならなく浮いた状態に目が離せなくなる。 映画はその緊張関係をMiraの側から描くのでもAnilaの側から描くのでもない、どこそこに落ちつくから、和解するから、ということを示さずに”Girls will be Girls”という状態に留めおこうとしていて、その緊張のありようはcoming-of-ageものが目指しがちな落着点とは別にどこまでも生々しい。

そして最後の方の、告発された男子生徒たちが仕返しで追いかけてくるシーンははらはらするのだが、このパートはなくてもよかったかもしれない、と思いつつ集団になったときの猿としか思えない男子のしょうもなさの描写としてはありなのか、とか。世界中どこでもこの動物以下のは…

この世の涯のような場所にある学校でもこんな… というところも含めて、とても広がりと普遍性をもったよい作品だと思った。 Miraを演じたPreeti Panigrahiさん、驚異的ではないか。

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