10月6日、日曜日の昼、BFI IMAXで見ました。日曜の昼からだからかもだけど、がらがらだった。
これの1週間前の”Megalopolis”より見る気がしなかったし、2019年の前作もみんな大絶賛だったけどどこがよいのかあんまわかんなかったし、この前作がArthur Fleckからサイコパス Joker (Joaquin Phoenix)のできるまで、を描いていたので、今作は彼が刑務所の外に出ることになって、そこにHarley Quinn (Lady Gaga)が絡んでくるのだろう、くらいに思っていた。
他方で前作以降、2021年1月6日の議事堂襲撃が起こり、その発端となった白人男性のサイコパスが大統領候補になって毎日のようにTVに出ていたり、白人男性のサイコパスが国連で演説して、その大量殺戮がG7首脳に肯定されたり、そんな状態の世の中で白塗りピエロの恰好した白人男性のヴィランが都市の真ん中でなんかやらかした! ようなのを見たっておもしろいわけないよね – というのは作る側も十分認識していたのだろう。 今回のArthur Fleckは監獄と裁判所の間を行ったり来たりするだけで、爽快に暴れたりぶっとばしたりしてくれない – たぶんそこが不評の原因で、それがわかる分、これはこれでこわい。それでもまだJoker的な暴力の構図になにかを求めようとするのか、とか。
冒頭はLooney Tunesふうのアニメーション - “Me and My Shadow”で、Jokerの本体とShadowが分離して、Shadowが勝手に悪さをしていってあーあ、になる。このクラシカルなトーンは都度挿入されるミュージカル・シークエンスで歌われるスタンダードナンバーと並んで昔話のような効果を生むのと、ここで示されるふたつ/ふたりの狂気 - “Folie à Deux”というテーマは最後までいろんな形で回りながら変奏されていく。 同じ「分裂」を扱っても”The Substance”の現代におけるそれとはやはり随分異なる。
精神病院?の看守(Brendan Gleeson)に虐められたりいろいろ言われたりしながら、骨しかないやつれ切ったArthur Fleckの日常が描かれ、そこで収監されていたHarleen Quinzelと運命の出会いをして、裁判に向けて弁護人(Catherine Keener)は幼時の虐待やトラウマが原因で完全に別人格Jokerが生まれ心神喪失状態にあった、といい、法廷で地方検事のHarvey Dent (Harry Lawtey)は分裂なんてしていない、と訴え… ストーリーとしてはほぼこれだけで、前作でのあれをやらかしたのは、Arthur FleckなのかJokerなのか、やったのが別人格のJokerなら無罪にできる可能性があるらしいから - というあたりの、お前はどっちなんだ? 本物のワルなのか? の周辺をずーっと行ったり来たりぐるぐるしたりしていて、その法廷でのやりとりや、 Harley Quinnとの出会いから一緒に歌ったりダンスしたりしながら関係を深めていくまで、の映像としての濃さ豊かさは、確かにすばらしくよく撮れている – そこだけは。 でもそれをIMAX 70mmで見るかというと…
Harley QuinnがArthur FleckのIF - Imaginary Friendのような扱いでしかないのがやや残念 – だってHarleyの過去や内面は殆ど描かれないし、あの状態のArthurになんであんなに寄ってくるのか、あんなスターふうに現れるのか、なんか変じゃない?- で、裁判所が爆破されたときにArthurもふっとばされて、Harley Quinnが「このいくじなし!」くらいのことを吐いて立ちあがるくらいならみんな少しは納得したのではないか。
あのラストについては、この内容ならあれしかなかったのでは、くらい。そういう意味で映画として破綻しているとか、そういうのではないの。ある確信をもってJokerを掘り下げて解剖している。見たい見たくないは別にあるとしても。
しかしここにBatmanとか、どうやって絡ませようというのか? 絡みようがないよね、というところもまた...
明日(9日)からLondon Film Festival(LFF)が始まって、BFIとかCurzonの一部は、ぜんぶ映画祭のプログラム一色になってしまうので、つまんない。映画祭での出会いなんて、苦労せずにどこでもアクセスできる業界の人たちの特権で、ふだん見れる時に見れるのを摘んでいる自分のようなのにとってはほーんとにつまんないったらないの。あーあー。
10.08.2024
[film] Joker: Folie à Deux (2024)
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