10.23.2024

[film] Pavements (2024)

10月17日、木曜日の晩、Prince Charles Cinemaの地下で見ました。
LFFのドキュメンタリー枠、かと思ったら”LOVE”というカテゴリーだったので階段を少し踏み外す。

あの有名なStocktonのバンドのドキュ(or モキュ)メンタリーで、監督はなんとAlex Ross Perryだというのでそこらのふつーのやつにはならんだろう、と思ったらやっぱりそうだった。

上映前のイントロで登場した監督 – Slayerのトレーナーを着ている - はこれまでで一番複雑で難しく大変なプロジェクトだった、と振り返る。そりゃあんなバンド選ぶから、と誰もが突っこんだであろう。 “This Is Spinal Tap” (1984)でおもしろがることのできた素朴な時代は遥か彼方に。

初めの方はふつうのドキュメンタリーふうに進む。1999年のバンドが機能不全に陥って散っていく様子、その後今世紀に入って復活して、何度めかの2022年の復活ライブに向けて動き出す姿を(たぶん)実際のフッテージを重ねて描いていく。 そうしてバンドの歴史を振り返るところになるあたりから、NYで短期間オープンしていたらしい”Pavements 1933-2022: A Pavement Museum”の様子と、Juke-Boxミュージカル“Slanted! Enchanted! A Pavement Musical”のオーディションからリハーサルの様子と、“Bohemian Rhapsody” (2018)や”Rocketman” (2019)あたりの位置(ってどんな?)を狙うべく立ちあがるバイオピック - “Range Life: A Pavement Story”の制作過程の話が絡んでくる。

いちおう、Pavementの実際の活動 – ライブのフッテージやメンバーの活動やリリースと絡めてExhibitionのゴミみたいな展示物とか、代表曲に合わせたミュージカルの振付のリハーサルが重ねられ、フェイク–バイオピックの撮影に向けて俳優も集まってくる - Stephen MalkmusにJoe Keery、Matador RecordsのオーナーChris LombardiにJason Schwartzman、Scott KannbergにNat Wolffなど、配役もちゃんとしてるし監督としてAlex Ross Perry本人も出ていて豪華なのだが、俳優たちの役作り - 真剣に悩む - も含めたメイキングが殆どで、そこにリンクするように傍を流れていく実際のバンドメンバーときたらしょうもないろくでなしばかりなので、これはなんなのか? になる。こんなの作る側も大変だったろうが、見るほうも付いていくのがばかばかしく大変で、そのばかばかしさに呆れて笑う、というのがPavementというバンドに向かうときの態度と同じようなものであることにやがて気付く(乾いた笑い)。

Pavementは90年代を突きぬけて、それなりの知名度と影響力をもったバンドであった、という前提、あるいは(明日から始まる)Doc'n Roll Film Festivalにあるようにドキュメンタリー映画でなんでもかんでも(特に亡くなってから)その「実像」が神格化されてしまう傾向とか共通認識 - に立ってすべて進められていくのだが、メンバーたちの現在の枯れたおっさんぶりを見てもそんな設定自体がしょうもない冗談であり、でも冗談とも言い切れない微妙なところもある、そこら辺の事情を踏まえておかないとただの内輪受け狙いの迷子になってしまいかねないかも... というあたりは正直わかんないしどうでもいいやー。

グランジ沼のなんでもありの中から出てきて、俺らみんなこーんなにクズで空っぽのゴミだ見ろ! っていう言い草と放り投げかたは「ロックは死んだ」よりも、よりアートっぽい仕草だしわかったふりもしやすいけど、ただの冷笑で終わってなんも残らない - 残らなかったからこんな映画を作って、Brooklynの映画館で偽映画のプレミアの様子まで模して遊ぶこともできるわけで、その辺はあんま素直に楽しいって言えないか。

そういう幹以外のところはちょこちょこおもしろくて、バンド結成初期に影響を受けたバンドのところでThe Fallの”Hex Enduction Hour” (1982)のジャケットが大写しになったので、そう! これこれ、になるとか。

昨日はStephen Malkmusの新バンド - The Hard QuartetのライブがあったのだがVivian Goldmanの方とぶつかってそっちに行ってしまった。Pavement っていつもこんなふうにまた今度、になりがちなバンドで、これまでで3回くらいしか見てなくて、たぶんこのままー。

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