10.01.2024

[film] Went the Day Well? (1942)

9月23日、月曜日の晩、BFI SouthbankのMartin ScorseseSelects.. の特集で見ました。

BFI Archiveが収蔵しているナイトレートフィルム(昔の硝酸入りで可燃性の)での上映。ここでは昨年くらいから厳格に保存管理しているナイトレートでの上映会をぽつぽつやっていて、そのひとつ。 この日に上映されたのは、フィルム完成後にここでプレミアされた際のものだそうで、80歳くらい。一応、事前にコンディションはチェックしているが、もし火が出た場合は落ち着いて、退避するルートは、等のインストラクションもあった。

この映画は、前回駐在していた時に見ていて - たしか戦時の女性、みたいな特集 – すごくおもしろかったのだが、同時に無慈悲すぎて辛くてここには書かなかった。

原作はGraham Greeneの短編 - "The Lieutenant Died Last"だが、彼は制作には関わっておらず、監督はAlberto Cavalcanti、プロデュースはMichael Balcon。第二次大戦の戦時下、ドイツ侵攻の恐怖が生々しくあった頃に非公式のプロパガンダ映画として作られた。 日本公開はされていない?

冒頭、のどかな田舎の村 - 架空の - で、ひとりのおじいさんが多くの人の名が刻まれた慰霊碑のような石碑をバックに、昔ここでこんなことがあったんじゃよ… って語り始める。

いつもの週末に向かう平和な朝、イギリス兵の一団が村に現れて、戦時なのでごくろうさまです、って迎えて休んで貰ったりするのだが、ある兵士の持ち物の「チョコレート」がドイツ語の包み紙だったので、これって… となったら彼らはドイツ兵としての正体を現して、村人たち全員を教会に集めて監禁して、警告の鐘を鳴らそうとした牧師を簡単に撃ち殺して、下手なことをしたらこうなるぞ、って脅して。 ハリウッド映画ならその中のひとりふたりが立ちあがって、になるのだろうが、ここにいるのは老人と女性たちばかり。

卵にメッセージを書いて新聞配達員に渡したり、なんとか無線を奪って連絡を取ろうとしたり、村人も必死でいろんな手を考えるのだが、どれも潰されたり、見つかってやられてしまったり、でもそういう試みが少しずつ効き始めて… というのが手に汗を握るかんじで展開されていく。 ドイツ兵が村人を殺すところ、村人がドイツ兵をぶん殴ったりして殺すところは、ものすごくあっさりばっさり、村ののどかな空気のなか稲刈りみたいに実行される、その神も仏ものかんじが逆にこわい – 実際にもあんなふうなんだろうな、って思うので。

でも少しづつ村の状況が外に伝わって、イギリス軍も追うようにやってくるようになり、戦いの舞台は教会からマナーハウスに移って、という土曜日から月曜の朝までの流れ。

沢山の女性がばたばた倒されていくのだが、泣いたり叫んだりの感傷的な場面もかっこつけてる場合も殆どなくて – そんな余裕ないかんじで – 誰かが倒れたらじゃああたしが、のように向かっていってとにかくなめんな/負けるもんか、って。見ている観客の方がエキサイトしていて、村の偉い人で隠れてこそこそドイツ軍の協力者だった奴を見つけてやっつけた時は「よし!」って歓声があがったり。

もちろんドキュメンタリーではないのだが、そういう風に見える作りになっていて、こうなった時にあなたならどう動きますか? を問われているような場面もあり、あープロパガンダだなあ、って。でもとにかく、映画としてすごくおもしろいしよくできていると思う。

英国の田舎の風景がどんなふうだか、そこに暮らすおばさんおじさんがどんな人たちなのか、わかるようになったところでこういうのを見ると、余計にしみるかも。
実際にこういうことが起こらなくてよかった - 上映された頃には、ナチス侵攻の恐怖はなくなっていたそう。

ナイトレートフィルムは、35mmフィルム上映とそんなに変わらない – 闇とか暗いところがより黒く深いかんじはあるかな? どうかな? くらい。でも、これがフィルム-映画だと見てきた代と、スマホのストリーミングの画を(も)映画とする代との間にはやっぱり隙間があるようなー わかんないけど。

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