10.11.2020

[film] Possessed (1931)

今月に入って、Criterion Channelで”Starring Joan Crawford”という枠で25本の選集がリリースされている。 彼女の主演作品のいくつかは2018年のBFIの彼女の特集で見て、でももっといろいろ見たいので、ここで見ていく。

これは10日、土曜日の昼間に見ました。彼女の主演で1947年にも同名の作品 - 邦題『失われた心』が作られていて、原作から何から全く異なるものなのだが、どちらも自分を所有するのは何か誰か、自分は誰のものか、という問いを巡りつつ、あたしはあたしのもんじゃボケ! っていう作品で、2011年に出版された彼女の評伝本(by Donald Spoto)のタイトルも”Possessed”、ていうの。

Marian (Joan Crawford)は、ペンシルベニアの製紙工場で働いて、母と実家暮らしで、同じ工場で働くAl (Wallace Ford)からは早く結婚しようぜ、って下品に迫られているのだが、もうそういう生活が嫌になっていて、外を歩いていったらゆっくり走っている列車の中にはいろんな人生が見えて - このシーン、すばらしいの - その客車にいた金持ちっぽいWally (Skeets Gallagher)が声をかけてきてシャンパンを飲ませてくれて、成功したいのならNYに来たまえってカードをくれたので、意を決してNYのWallyのアパートに来て訪ねたら、本当に来ると思わなかったわって追い払われて、 でも入れ替わりでWallyのところにやってきた法律家のMark (Clark Gable)にやけくそで絡んでみたら、この娘は ..  って火がついた。

そこから3年、MarianとMarkは結婚はしていないものの、恋人のように(恋人なんだけど)いつも一緒にいて、その間にMarianはフランス語や社交や接待の術も身に付けてMarkの仕事をきっちり支えているのだが、そこにセメント会社の社長になったAlが契約の相談でMarkを訪ねてきて、そこにMarianがいたもんだから性懲りもなく彼女に結婚を迫ってきてうんざりする。丁度Markが知事選に立候補を考えている時で、彼の友人たちがMarianとの関係をどうにかしないとスキャンダルになるぞ、って陰で言っているのを聞いたMarianは、あたしはAlと結婚するからさよなら、って姿を消す。

選挙戦はMarkの方が優勢で進んでいくのだが、対立候補側はスキャンダルで潰すべく演説会でMarianの名前を出して動転させてやれ、って企んでいて。でもその会場にはMarianも来ていて..

そういう時代だからしょうがないのだろうが、とにかく政治経済は男性がぜんぶ動かして女性はそれを下から支えて運良く金持ちと結婚できればアガリ、という価値観が吹きまくっているのでうんざりで、でもやっぱりJoan Crawfordのざけんじゃねえぞ、の念が底から力強く湧きあがってくるのがたまんなくて、特に終わりの演説会場のとこなんて拳を握ってしまって、そのあとの鮮やかなラストに痺れるの。 映画館でみたら絶対拍手が起こるやつ。


Sadie McKee (1934)

1日、木曜日の晩、Criterion Channelで見ました。
邦題は『蛍の光』? - 最後にちょっと流れるだけなんだけど? 監督は↑と同じClarence Brown。

Sadie McKee (Joan Crawford)は、お金持ちの社長の家でメイドとして自分の母と一緒に働いていて、社長の息子でNYで法律家として成功している幼馴染のMike (Franchot Tone)が久々に戻ってきて楽しい雰囲気になったのだが、その席でMikeが工場で働くSadieの恋人のTommy (Gene Raymond)のことを悪く言ったので喧嘩して飛びだして、工場をクビになったTommyと一緒にNYに駆け落ちしてしまう。

NYに来たふたりは文無しで、でもなんとか安下宿を紹介してもらって翌日は婚姻登録をしましょうね、って正午に会う約束をしてSadieは宿を出るのだが、ひとり宿でふんふん歌っていたTommyの声を聞いた隣部屋のどさ回り歌手Dolly (Esther Ralston)が彼を気に入って一座に入れて連れていってしまう。

ひとりどん底に叩き落とされたSadieはナイトクラブでダンサーをしながらのし上がる機会を狙って、大金持ちだけどしょうもないアル中のJack Brennan (Edward Arnold)と仲良くなり、彼の法務担当であるMikeへの当てつけもしてやれって、Jackと結婚してしまう。

まだTommyに未練があるので彼の舞台を見にいったりしつつ、アル中で容態がやばくなったJackの面倒を見て、でもTommyは病気が原因でどこかで捨てられたことを知ったSadieはJackに別れたいと告げて、裏でSadieに未練があるMikeはTommyを探してあげるのだが、やっと再会したときにTommyは手遅れで死んじゃうの。 でも、亡くなる直前にTommyからMikeのことを聞いたSadieは…

いろんな怒りとかでめらめらして絶対のしあがってやる、ってそれなりの地位を手にして、でも本当は最初に結婚を誓った彼のことを想ってて、その横で2人の金持ち男たちが代わりばんこで見守ってくれて、という典型的なJoan Crawford最強伝説の星雲を形作る1本で、ベタだけどおもしろいったら。

それにしても、彼女ってどれだけ田舎の工場やメイドで働いてて都会に出てきて.. っていう役をやってきたのだろうか、どれだけそういう役柄を期待されてきたのだろうか、って。


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