9月26日、土曜日の昼にMUBIで見ました。 英語題は”Bird Island”。
62分のフィクション/ドキュメンタリー映画。 とても静かな、鳥が好きなひとにはたまんない映画(だと思う)。
スイスにある鳥のリハビリ・診療センターに若者Antonin (Antonin Ivanidze)が新入りとして入ってくる。
彼はセンターで鳥の餌になるネズミを育てる係のPaulがリタイアするので、その後任として紹介されてやってきたのだが、これまで働いた経験がなく具合が悪くて病院にいたとかで、とても神経質で不安そうで、これ何の匂いでしょう? (糞だよ)とか聞いたりしている。 だいじょうぶかしら。
PaulがAntoninになんも考えていなそうなネズミをカゴから出して鳥の餌にする方法を引き継ぐ。やりかたはふたつある、とかいうのだが、Paulは手でばしゃん、て一瞬で叩き潰してしまう(手元は映さないからだいじょうぶ)。これを見ただけでAntoninは死にそうになってて、リハビリが必要なのは鳥よかこの子の方かも、って。 それに続いて、サーモグラフィに移されたネズミのシルエットの赤黄色がゆっくりと青に変わっていく映像。
Antoninのパートはフィクションで、センターにいる常駐の獣医のEmileとその下のSandrineのふたりの女性の仕事はドキュメンタリーとしてきちんと紹介される。彼女たちは殆ど喋らず表情も変えずクールで、どこかしら「動物のお医者さん」ぽい。そんな彼女たちがふんわりした鳥の羽の奥の皮肌をまさぐったり剥いたりして手術したり治療したりするその手元も描かれる(鳥なのでほぼ流血しないからだいじょうぶ)。あと、餌のラズベリーの実を木のでっぱりに刺していったり、そういう手元もよいの。
ドキュメンタリーなので、もちろんそこに収容されている鳥たちも沢山出てきて、飛べなくなってしまったフクロウとか、大きな鳥も小さな鳥も。鳥たちはもちろん喋らないし、具合が悪いって鳴くこと騒ぐこともないし、ただ黙って首を傾げたり羽を膨らませて木の間に挟まっていたりする。その様子だけでなんかたまんなくて、治療を終えた鳥が外に放たれるところもたまんなくて。 ごめんね、って。
センターは空港の近くにあるのか滑走路で空砲を撃って鳥を追い払うところとか、そういえばすぐ横になったり倒れたりしていたAntoninはだいじょうぶなのか、も描かれる。 最後にでてくるPaulのFarewellパーティではみんな少しだけ打ち解けてよい雰囲気にもなるのだが、それはヒトの世界のことで、別の半分には鳥の世界もあって、これらは繋がっているのでいつも通りにぱたぱた... という空気とか風のかんじ - Bird Island - がよいの。 鳥が治るのならAntoninも、くらいでそれはシリアスでも不真面目でもない、そんなもんだからさ、くらい。
今日もまだStormが上空に居座ってぐるぐるまわっていて、ずううーっと雨だった。ありえない。
しかたがないので、オンラインで始まっていたPordenone Silent Film Festivalにサインアップして、日曜日はサイレントを見よう、をやってあとは寝てた。しんでた。
€9.90で一週間のプログラム見放題ってすごい。 これで1911年のNYとか19世紀末のロンドンとかアムステルダムの街とか人たちとか出来事の様子をびっくりするくらい鮮明な映像で見せてくれる。こういうのを見ると、過去のことを知る/知っているってどういうことなんだろう? なにがこれらを「過去」にしているのだろう? って改めて思うし、今はこんなでさっぱりの未来なんてどうでもいいから、丸くなってこういうのばかり見ていたいわ、って。
10.04.2020
[film] L'Île aux oiseaux (2019)
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