10.02.2020

[film] Matador Records - Revisionist History (2020)

 9月30日、水曜日の晩、MetrographのVirtualで見て聴いた。
ドキュメンタリー映画、というよりはストリーミングのイベントで、創設30年を迎えたMatador Recordsの歴史(改竄ありあれこれでっちあげ込み)を振り返るガイド付き視聴覚ツアー。これをなんでMetrographがやっているのかは知らん。

最初に司会者の人がスタジオにいる子供達に向かってバンドとは、レコードとは、レコード会社とは、などについて子供にもわかる説明をして、創業者のChris LombardiとGerard Cosloyをオンラインで繋いで当時のことを回顧していって、その合間にレーベルのアーティストのPVとか短編映画とかを流していく。なかなかだらけた内容 – とてもMatadorらしい – でトータルの時間は2時間、と書いてあったのに実際には2時間20分くらいになっていた。

PVの最初がフェイクに繋いだリリース当時のインタビュー映像に導かれたLiz Phairの“Never Said” (1994)で、わーなつかし。 続いて祝25周年のChavez – “Break Up Your Band” (1995)で、これもなつかしくて、Bailter SpaceにPavement – “Father to a Sister of Thought” (1995)と続いて、現在のYo La Tengoが出てきて少し思い出話をしてから“Tom Courtenay” (1995)のPV – あのライブハウスはMercury Loungeだったのかー、と。

なつかしいだなんだは置いておいて、90年代中頃にこんなふうに出てきたMatadorがなーんか胡散臭くてインディペンデントのにおいがしなかったのはこういうPVとかマーケティングに力を入れているように見えたからなんだよな、って。でも当時はPVを作っても流す媒体がない - MTVの(Matt Pinfieldの)”120 Minutes”とか同じくMTVの(Kennedyの)”Alternative Nation”くらいしかなくて苦労した、と。たぶんこちらの頭がインディはこうあるべし、みたいになっていたのだと思うが、そういう力の入れ具合とかでMatadorというレーベルそのものに(他のと比べれば)そんなに思い入れはないの。(ミュージシャンからすればとてもよいところだったのかもしれない、とは思う。Pizzicato FiveやCorneliusを紹介したのもここだったし)

ただこういうPV映像が当時のAlternativeの広がりに大きな意味を持ったことは確かだった気がする。日曜の深夜って(月曜会社行きたくないよう病、だったので)起きて見ているのはすごくしんどかったのだが、Butthole SurfersもMeat PuppetsもJawboxもThe Muffsもここで知ったのだったし、BeckもGreen DayもWeezerも最初に見たのはこの番組だった気がする。MTVの隆盛と同じくらいメディアと音楽 – 特にグランジ~オルタナ周辺を考えるネタとして重要なソースのひとつではないかと思っている。

その後PVは00年代のJay Reatard – “It’s So Easy” (2008) - 当時のMatadorのオフィスで撮ったそう、Sonic Youth – “Sacred Trickster” (2009)、Kurt Vile – “Freak Train” (2009)と続いて、93年にニュージーランドのTVで流されたPavementのプロモ映像とか、SpoonのPVを撮っていたBrett Vapnekさんの短編 - “Dream Machine” (2000)とかを経て、最後にPavementのマンチェスターのライブ映像がきて、Guided by Voicesの30分以上に及ぶドキュメンタリ―“Watch Me Jumpstart” (1995)で締まる。

こうして最後に出てくるGBVが実に見事にすばらしいったらない。演奏風景はあんまなくて、メンバーたちが思いついたことを喋って佇んでうだうだしているだけで、編集もてきとーなのだが、ああアメリカにはGBVがいたんだわ、って。ナリはすれっからしの普段着で、いつも酒とタバコまみれのよれよれで、テクもぐだぐだで曲の形をなしているだけで奇跡のようなかんじなのに、単調なリズムでじゃかじゃかやっているようなのが殆どなのに、ライブになるとよくわかんないパワーでなぎ倒しにきて、実際になぎ倒されてしまう謎。 彼らと比べたらPavement のなんとおしゃれで高尚なことか。Matadorという名前にいちばん相応しいのは彼らなのかも、って。 牛には勝てるわけないことがわかっているのに虚勢はって大見得きって、ライブの後は立てないくらいしんでしまう連中。

この調子で次はMergeとSaddle Creekをお願い。


英国の上空にはStorm Alexっていうのがいて、朝からずーっと雨と風が止まなくて、こいつが停滞して上空をぐるぐる回っている。
ほんと勘弁してほしい。

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