7.24.2026

[film] Dead Man's Wire (2025)

7月19日、日曜日の午後、恵比寿ガーデンシネマで見ました。
英国滞在の最後のほうで公開されていたが、時間がなくて見れないままで悔しかったやつ。

70年代に実際に起こった犯罪を元にしたサスペンス。監督はGus Van Sant。
ところで、少し前に映画会社の宣伝がSNSで話題になっていたが、あれは新人設定にしてAIに書かせたものだと思う。そして、あんなもんをAIにやらせたとしてもAIでなかったとしても、どっちにしてもレベル低すぎるし効果あるとは思えないし、こんなのがこの国の洋画配給会社の「実力」なのだろう。あーあ、になるしかない。

77年2月のインディアナポリスでのある朝、現地の実業家のTony Kiritsis (Bill Skarsgård)が車でモーゲージ会社のビルに乗りつけ、受付で社長のM.L. Hall (Al Pacino)と会いたい、と伝えるが彼は不在で、替わりに息子のRichard Hall (Dacre Montgomery)が出てきて応接室で応対していると、突然Richardを縛りあげて箱から出したショットガンを彼の首に引っかけ、抵抗したり警察が絡んできたら引き金が引かれてどん! になるからおとなしくしろ、のDead Man’s Wireを仕掛けられてしまう。

TonyはHall一族の会社 – 特にM.L.の方には商用の土地購入で自分の尊厳も含めて積みあげてきたものをめたくそにやられてふんだくられたのでふざけんじゃねえ、とにかく謝れ、賠償しろ、ってずっとテンション高くぶち切れていて(ホラーみたいに恐い)、その勢いで彼をビルの階下まで引き摺って車に乗せ、警察や報道からも隠れることなくこれ見ろ、寄ってくるな、って説明して、自分のアパートに連れこんで閉じこもる。

閉じこもってからは、報道を中心に24時間通しの大盛りあがりになり、Tonyは人命優先の当局から負債の取り下げなどを保障して貰い、お気に入りのラジオ局DJのFred Temple (Colman Domingo)に自分の話を聞いて貰ったり、やりたい放題で、でも電話が繋がって会話ができたM.L.からは謝罪を取りつけることはできなかったり - Al Pacino、ほぼ妖怪の頑迷さ。

つい間違って引き金を引いちゃった… はなさそうで、ぶつかったり詰まったり、ずっとテンションの高いTonyとのじりじりした駆け引きが続いて、人質のRichardはずっと死んだ魚の目で煮るなり焼くなり好きにしろ、になって、でも最後はやはりじりじり交渉、という熱さ冷たさの温度感が乱高下する空気をところどころ70年代映画のような粗め冷ための画質(撮影はデジタルらしい)が捉えていって、最近のこういう映画にある現場のライブ感は余りないけど、ここにはGus Van Sant映画の主人公のいつもの危なっかしい彷徨いがあって、緊張感は途絶えることなく、いろんなことを考える。

70年代を舞台にした最近の犯罪映画、でいうと”The Mastermind” (2025) – これも半分実話であるが - 辺りにも似た、生活に困窮した男があまりぱっとしない装備でコトを起こして悶えまくる、というのにも似た、なんともいえない切なさがあって、これはなんなのかしら。 “One Battle After Another” (2025) の最初期のBattleなのか。

脚本はAustin Kolodney、音楽はDanny Elfmanなのだが、挿入歌が近年稀にみるすばらしさで、エンディングに流れるGil Scott-Heronの”The Revolution Will Not Be Televised” (1970)をはじめ、最初の方のLabi Siffreの“Cannock Chase” (1972)とか、決着したときのYes - “I've Seen All Good People” (1971)とか、個人的にはHarpers Bizarreの”Witchi Tai to” (1969)かしら。これの入ったLP - ”Harpers Bizarre 4”、ジャケットがぼろぼろのを青山のパイドパイパーハウスで買ったなあ、って。

主人公が心酔するDJのColman Domingoがひとり異世界のクールネスを放っているのだが、彼が家に帰ったら”Michael”がいたとか...


3月24日にロンドンのフラットから荷出しして、4月16日に英国のサザンプトン港を出港して、6月16日にシンガポールに着いて、そこで荷物を積みかえて、6月30日に東京の港に着いた船便が、こんどの月曜日にようやくやってくる。本当にまる4カ月かかるとは。

3月の終わりに帰国して、どうせこれが来るから、ってお片付けをずっと先延ばしにしてて、その間だって2年間で買っていなかったあんな本こんな本や新刊本は考えなしに買ってそのまま積んでて、もんだいは、今いるところに20箱ぶんの本をどうやって上積むのか? で、ふつうに見ただけでどう見ても考えてもこれ以上はむり。最近の世間には積読を称賛する傾向もあるらしいが、もうどう見ても何をしても絶対むり… 

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