7月11日、土曜日の昼、シネマヴェーラで新しく始まった特集 - 『ノワールから西部劇へ アンソニー・マン特集』で見ました。
この特集からまだ7本くらいしか見れていないのだが、とにかく何を見てもおもしろくてこの人なんなの? ってあきれている。上映時間だとどれも70〜90分くらいのものばかりなのだが、ここまでのことができるのか、って。
メキシコの見世物小屋でショーの最中、どこかで銃声が響いて、駆けつけると楽屋で女性が絞殺されていて、その夫が怪しいって逮捕されるのだが、その後に舞台の上から傷を負って落ちてきたThe Great Flamarion (Erich von Stroheim)は息も絶え絶えにこれまでのことを語り始める… というノワールの典型的なスタイルで、宿命の女と思い込んでいた彼女にやられてしまうまでのこと。
百発百中の拳銃ばんばん芸で各地のどさ回りを続けてそれなりに稼いでいるFlamarionがConnie (Mary Beth Hughes)とそのアル中のだめ夫Al (Dan Duryea)と組んでやっているうち、Connieに言い寄られて言われるままに夫から逃れて実家の方に隠れたい、でも1年後に一緒になりましょう、と言うのでそれを信じてお金を渡して待ち合わせを誓ったシカゴの豪華ホテルで待ったのにぜんぜん現れなくて、気づいたら彼女は別の自転車芸の男と一緒に興行していると聞いて…
わかりやすすぎて同情の余地があまりないロマンス詐欺事案なのだが、Erich von Stroheimの純情の痛さと怖さ、それに相性よく絡みつくヨーロッパ・ホラーの暗い粘着力とMary Beth Hughesの軽い悪女っぷりが見事な模様を描くクラシック。
The Furies (1950)
7月13日、月曜日の晩に見ました。邦題は『復讐の荒野』。Walter Hustonの最後の出演作 - にしてはあまりに見事にみっしり詰まって漲っている。Mannの作品にしては長い109分。
ニューメキシコに広大な牧場 “Furies”を経営する家父長制の権化のような親分T. C. (Walter Huston)がいて、家でもビジネスでも現地民から搾取しまくっているのに周りからは豪快ないい親父って見られていて(よく見る)、その愛娘Vance (Barbara Stanwyck)は父を尊敬しつつも貰えるものは貰うから、って負けなくて、追い出されると頭きて父を敵視する男たちと組んだりしながらやり合って自分の道を切り開くまで、を女性映画ウェスタンのように描く。わたしはBarbara Stanwyckがかっこよければそれでだいたい満足なのだが、この映画でそれ以上にかっこよかったのが、現地民側で息子たちを従えて狂喜しながら撃ちまくる豪快なママだったかも。
父に対抗すべく味方になってくれそうな男と付き合ってみるのだが、結局男なんて簡単に裏切るし父には敵うわけないか、って愛・憎・諦めで身動き取れなくなっていく自分に苛立つ彼女 - こんな複雑なエモを表現できるのは彼女くらいよね、って。
Strange Impersonation (1946)
7月13日の晩、↑のに続けて見ました。邦題は『仮面の女』。68分の作品。
化学研究者として頭角を現してきたNora (Brenda Marshall)は同じ職場の婚約者Stephen (William Gargan)から早く一緒になろう、って言い寄られているのだが仕事に熱中したいので先延ばしにしていて、同僚で助手のArline (Hillary Brooke)からはほどほどに、って言われていて、ある晩、Arlineと一緒に自分を使って麻酔薬の実験をしたら火事になって大やけどをして、顔が変わってしまい人生終わった、になっていたところに訪ねてきた女性Jane Karaski (Ruth Ford) – 車でちょっと引っかけてしまっただけなのにたちの悪い保険屋とつるんで金を巻きあげようとやってきた – とやりあううちにJaneはアパートから落ちて顔がわからない状態で死んでしまったので、Noraは西海岸で整形して名前も含めて彼女になりすまして、Stephenと結婚しているArlineのところに近づいていくと…
よくある復讐劇、だけではない、女性と仕事、お金にまで踏み込んだ深い作品で、でも最後はやはり破綻してノワールの悲劇として終わるのか、と思ったら。
しかし、Noraが家に持ち帰って実験をした理由が、研究所だと申請がめんどくさいから、って、いまだと確実にコンプラで…
7.21.2026
[film] The Great Flamarion (1954)
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