6月12日、木曜日の夕方17:30、BFI Film on Film Festivalのオープニングで見ました。
Film on Film Festivalは、上映されるフィルムだけではなく、上映素材としての「フィルム」にも着目して、今年で設立90周年を迎えるBFI National Archiveの協力のもと、とっておきのお蔵出しをするお祭りで、2023年の第1回の際はナイトレートフィルムの上映があったそうだが、2回目となる今年は8mm、16mm、28mm、35mm、70mmのいろんな作品をぜんぶ物理フィルムでがらがらかけて回して、今年はボローニャの方の映画祭には行けなかったのでありがたく見まくりたいのだが、日曜日までの4日間しかやらないなんて、短すぎる。土曜日には用事入れちゃっていたし。
そして、このオープニングでGeorge Lucasが勝手に改変してしまったのでもう見ることのできない1977年のリリース時のバージョンの35mm dye transfer IB Technicolorというの(知らなかったのだが、英国以外はEastman Kodakのプリントだったのだそう)が上映される、と。日本でも報道されていたくらいの、これはとにかくおおごと、ではある。
日本では本国公開から遅れること1年以上 - 洋画配給会社への不信は間違いなくここから始まった - 待たされすぎてあたまがおかしくなってしまった公開当時中学生の自分はまだ入れ替え制ではなかったのでチケットを買えば一日中潜ってひたっていられる映画館で何度も何度も、正確な数はもう忘れてしまったが、40回以上は見た。タマゴから孵ったヒナが最初に見たのについていくのと同じで、自分にとってはこれが正しい”Star Wars”で、現在流通している改変/改悪版は着色料まみれの二次資料としか言いようがなくて、とにかくこの目でふたたびおっかさんをー、とか。
と思っては見たものの、BFIのシアター(一番大きいとこだけど、そんなにでっかくはない)なのでチケットはすごい争奪になることが予想され… と思っていたら抽選になりますー、って連絡がきて、もちろん応募はするのだがそういうのに当たったことがない(そして実際に外れた)のであーあーって暗くなっていたら、2回の上映のうち、最初の回の上映でfundraising ticketが出ているのを知る。
London Film Festivalとかのfundraising ticketは4ケタで手が出るものではないのだが、これはそこまでは行かなくて、バレエとか洋楽の高いのを買ったと思えば、くらいで、もう自分が生きているうちにこのバージョンのをフィルム上映で見る機会が出てくるとは思えないし、など悩んで(うそ。実際には速攻で)取ってしまった。それにBFIのアーカイブには散々お世話になっているので、寄付になると思えばぜんぜん、って。
自分で席は決められないのだが、ものすごくよい真ん中の真ん中の席で、前の列にはEdgar Wrightがいた。
フェスティバルのオープニングなので挨拶などもあって、なんとLucasfilm社長のKathleen Kennedyが出てきたよ。「illegalな上映会にようこそ」だってさ。今回のこのバージョンが現在のSWの世界(AndorからThe Mandalorianから、企画中のStarfighterまで)の源流になっていることは間違いない、と。(そんなこと言うならふつうに見れるようにしてくれ)
映画のほうはいいよね。オープニングに”Episode IV – A New Hope”と入っていない、ただの”Star Wars”だけの。フィルムは約50年前のものだなんて信じられないくらいきれい(人によっては黄ばんでいるとか言うかな)で、ノイズすら遥か昔の銀河系の彼方のものだし、と思えてしまう。でもフィルムかデジタルか、についてはこういうのを見ると、まったくの別ものなのでどっちがどっちの議論なんかしてもしょうがないのではないか、と。見たいひとは何があってもその時に見たいのを見る、だけだし。
最初と最後に大きな拍手が起こったことは言うまでもないが、上映中で唯一拍手が出たのはMos EisleyでHan SoloがGreedoを撃ち殺すシーン。やっぱりな、って。
終わりの方は、なんだかずっとじーんとしていた。画面の流れとか誰がどこで何を言うか、画面上のそれと頭のなかで再生されるそれが同期してはまっていくのがひたすら心地よくて、あーこの映画が自分を作ったのだわ、って思った。「理力」とはなんなのか、なぜ人はダークサイドに落ちるのか、そんなことばかり考えていた。 それは今も。
Behind the Scenes of Star Wars
この上映企画の一環で、BFIのなかのBlue Roomというギャラリーのようなスペースで、BFI National Archiveが保管している関連お宝が公開されていた。
“Star Wars”が当初”The Adventures of Starkiller”と呼ばれていた頃のoriginal continuity scriptとそれに添付された撮影現場のポラロイド写真の現物を見ることができる。
時間ごとの閲覧チケットはあっという間に売り切れていて、でも上映後に辛抱強く並んでいたら20:30過ぎに入れてくれた。
撮影はもちろん不可、飲み物なども持ちこみ不可で、一部は拡大されてパネルに並んでいるが、本物は係員のひとがクリアファイルをめくりながら説明してくれる。
書き込みは異様に細かくてぐしゃぐしゃで、ふーん、くらいなのだが、Trash compactorのシーンのところはぐるぐる渦巻がいっぱい描いてあって、あーなるほど! だった。
6.14.2025
[film] Star Wars (1977)
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