5月25日、日曜日の午後、BFI Southbankで見ました。
MI8を見たあと、へろへろの状態で。海の次は山か、とか(違)。
父娘が一緒にハイキングに行く、という以外どういう映画なのかわからなかったが、それなりに楽しめた。
監督のIndia Donaldsonの長編デビュー映画で、2024年のサンダンスでプレミアされているアメリカ映画。
NYに父と暮らす17歳のSam (Lily Collias)が父とその友人と一緒に北の方のCatskill(ちなみにFishkillっていうのもある)の山奥にハイキングにいく朝から始まる。
どういう経緯や目的があってこの旅行が企画されたのか、等はわからず、出発の朝のSamのだるそうな様子から、山に行って楽しんでこよう!みたいな雰囲気は感じられないし、父Chris (James Le Gros)が運転する車で彼の友人のMatt (Danny McCarthy)をピックアップした時も、彼の家の入口でMattとその息子らしき若者が揉めているのが見えて、やがて諦めたMattがひとりで車に乗りこんできたので、おそらくは親父ふたりがなんとなくのノリで決めて、若者代表でSamが付きあわされているのだろう、くらい。
ChrisもMattもどちらも成功かつ成熟した大人のかんじはあまりなくて、どちらも離婚しているようだし、元俳優であるらしいMattの話しぶりからも、重すぎる荷物を開けてみた時の(アウトドアとかぜんぜん縁がなさそうな)散らかったかんじからも、この旅が彼ら中年男たちになにかをもたらしたり転機になったりする可能性はなさそう(蒸発とか自殺はありそう)で、どちらかというと大学入学などを控えたSamの思い出作りになったら喜ばしい、くらいの、うざいおっさんの考えそうな臭いがぷんぷん漂う。
他方でそれらの「真意」のようなものを探る方にも目標地点を示す方にも向かわずに、カメラは3人の行動を追っていくだけ。車を停めてキャンプするための道具をリュックに詰め替え、歩きだしてしばらくしたら雨がきて、雨宿りしていると別の山歩き男たちが現れて、など。予告を見た時はこの男たちとの間でやばいことになるのか、と思ったりもしたがそんなこともなく、つまんなそうな話をつまんなそうにして男たちは消えて、もうこのさき一生思いだすこともないであろう、とか。
ナレーションもないし本質に向かうような会話もないしテントの中の様子が映ったりもないのだが、それでもこのぱっとしないキャンプ、というかその時間とか丘の上から見渡せる森の景色とかがSamには何かを与えたのでは - このつまんなさ退屈さ、それにつきあわされたり耐えていったりがこの先の人生のどこかでぜったい求められるんだから、とか - わかんないけど。そして森とか自然はなにも応えず返さずにそこにあるだけの背景以上でも以下でもー。
父と娘と森、で“Leave No Trace” (2018)を参照するレビューもあったが、男ふたり、だとKelly Reichardtの”Old Joy” (2006)を思いだしたりもした。あの、楽しいんだか楽しくないんだかぜんぜんわかんない変な男たちが出てくる映画。
もう一生アウトドアなんてしないし関係ないし、っていう人が見ても納得できるやつだと思う。反対にアウトドアに情熱をもって取り組んでいる人がみたら怒るやつかも。怒らせとけ、くらいの..
Compensation (1999)
5月24日、土曜日の晩、BFI Southbankで見ました。
ここの5月の特集、ぜんぜん追えなかったのがひとつあって、“Black Debutantes: A Collection of Early Works by Black Women Directors”というので、有名な作品だと”Losing Ground” (1982)などもかかったのだが、時間が取れなくてごめんなさい、しかなかった。
上映前に監督のZeinabu irene Davisさんのプレ・レコーディングされた映像が流れる。
1910年と現代のアメリカでそれぞれ、聾唖者の女性(Michelle A. Banks)と健常者の男性(John Earl Jelks)が恋におちて、途端にいろいろやってくる困難 -昔のアメリカだと、女性は読み書きできても、男性の方で文字が読めなかったりとか。現代ドラマで描かれがちな周囲の無理解やシンプルな差別偏見、のような取って付けたようなものはなく、恋とは、思いを伝えるとは.. のそもそもを考えさせるようなやりとりが淡々と紡がれていって考えさせられる。
昔のアメリカのパートは、やりとりなどが字幕で描かれるのだが、まるでサイレント映画で、そうかサイレントってそもそも… と改めて思ったり。
タイトルは詩人Paul Laurence Dunbarの詩から採られたもの。
映画は1993年に完成していたが上映まで1999年まで待たなければならなかった、とか。
でも昨年アメリカ議会図書館のアメリカ国立フィルム登録簿に登録されて、今回の4Kリストア版が公開されるに至った、と。日本で公開されたことがあるのかは不明だけど、公開されてほしいな。
6.03.2025
[film] Good One (2024)
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