12月5日、木曜日の晩、Shakespeare's Globeの中にある小さい方のシアター - Sam Wanamaker Playhouseで見ました。
Shakespeare's Globeは、ツアーで施設とかを見たことあったが演劇を見るのは初めて。ようやく。
シェイクスピアの『終わりよければ全てよし』。 演出はChelsea Walker。コスチューム等もすべて現代ふうに焼き直してある。シェイクスピア劇のなかでは喜劇、でも問題劇、とカテゴライズされるやつ。
身分の低い女性が身分が高くて届きそうにない男性を賢く陥れて強引に結婚してしまう、という建て付けのしっかりした物語、というよりどこかから流れてきた噂とか小噺、のような。
シアターは小さく縦に長くて、かぶりつきのようなPitがあって、バルコニーの1階(ステージより少し上の高さ)と2階と、席の境界も背もたれもなくて結構ごっちゃり詰まっていて、舞台も2階建てで2階には楽隊と歌手が、一階のステージの床には(この舞台では)ガラスが張ってあるので全体が宙に浮いているように見える。上演が始まると上にあがっていくシャンデリアにいっぱい刺さった蝋燭はほんもので、昔の芝居小屋はこんなだった、ということなのか。人がいっぱいで暑かったのを除けば、雰囲気はとてもよい。
冒頭、登場人物全員がモダンな黒服で、サングラスをしてファッションショーのように隊列を組んで現れる。そんな宙に浮いたランウェイの真ん中で起こってしまった事故のような – あれも終わりよければ全てよし … だから?
若くてイキっている貴族のぼんぼんBertram (Kit Young)がいて、彼にはりついている維新の政治家みたいにきらきら悪賢そうなParoles (William Robinson)がいて、中味ゼロっぽいのに俺らに恐いものなんてないぜ、って好き放題していてしょうもない。
孤児のHelen (Ruby Bentall)がBertramに思いを寄せているが身分の違いもあるので彼は振り向いてくれなくて、それでもHelenは健気にパンツ一丁でうろつくフランス国王の病気を治してあげたり、Bertramの母(Siobhán Redmond)からも理解を得たり、Bertramが寄っていったDiana (Georgia-Mae Myers)にも手伝って貰ったりしつつ自分の周りをしっかり固めて、もともと高慢ちきで承認要求まみれのバカな若者ふたりは戦争で舞いあがった状態で仕掛け網に簡単に引っかかって、赤ん坊と指輪の決定的な証拠を突きつけられて全面降伏するしかなくていい気味、しかない。
「終わりよければ全てよし」の終わりを「よし」とするのも全てを「よし」とするのもHelenを中心とした(主に)女性たちで、「終わり」を結婚と妊娠にしてしまってよいのか問題はあるものの、そういうゴールやルートマップを作った男性たちは戦争に行ったりやりたい放題なのでちっともかわいそうじゃないし、これで終わったと思うなよ、くらい言ってやれ、と思った。
などと思いつつも、Helen、ほんとにあんなクズ男と一緒になりたいの? 幸せになれると思う? というのも出てくる。どこだって似たり寄ったり - これより酷くなる可能性のが高いのだ、と言われてしまうのだろうか。(この問題は今でもリアルにありそう)
お芝居自体は舞台上の方で優雅に奏でられる謡曲と、戦争で荒れ放題になった下の方から客席までずかずか割りこんでくる軍の人たちまで、現実と華とが紙一重のレイヤーで重ねられていて、この「問題劇」のありようを正しく示しているように思えた、とこはおもしろかった - 昔の「問題」とはちょっと違うみたいだけど、これもまた終わりよければ… ということにして。
12.14.2024
[theatre] All’s Well That Ends Well
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