12月15日、日曜日の昼、BFI Southbankで見ました。
本公開前にしたPreviewで、上映後に監督Nick ParkとアニメーションスーパーバイザーのWill BecherとのQ&Aつき。
9月にもここで”The Curse of the Were-Rabbit” (2005)の上映と監督たちとのトークがあったのだが、何回見ても楽しいし好きだからよいの。Wallace & Gromitのシリーズとしては16年ぶりの新作、になるそう。
日曜日の昼なので、当然子供連れの家族などで賑やかなのだが、アクションが始まると大人も子供も同じ場面で同じようにわーぉ、って笑って手を叩いて喜んだりしている。要はキートンやロイドのサイレントと同じ効果があるのってすごくない?
日本でも既に『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』というタイトルでNetflixで見れている、の?
特別にクレイ・アニメーションが好き、とかわけではなく、見れるのであればー、程度なのだが、このWallaceとGromitの1人と1匹については、なんも考えなくても目から入ってきたものが頭の中で動きだす、その自在で自動で勝手なかんじが好きで、そういうのであればなんでもよいかというとそうではなくて、彼らの動きとか小競り合いのもたらす - 多分に英国的な阿吽のような - なにかが好きなのだと思う。
今回、冒頭でWallaceとGromitが彼らの家に押しいった黒目無表情のペンギンを捕まえて警察に突き出して、前科たっぷりの凶悪犯であるらしいこいつは表情を変えない/見せないのだが何かを企んでいそうなことはわかる。
Wallaceは小人(庭によく置いてあるとんがり帽子の-)型のロボット - Norbotを開発して、こいつはこれまでGromitがやっていた何でも屋サービス - 特に庭木の剪定やガーデニング - を横から効率よく片付けてしまうのでGromitは面白くないのだがWallaceはご満悦で気にしていない。
他方で復讐に燃えるペンギンは獄中(実は動物園)のTVでその様子を知るとリモートでNorbotを乗っ取り(パスワードが…)リプログラミングして稼働モードを「極悪」にセットする - Norbotの目も白から黒に変わる - とNorbotは自分のクローンを量産し、その軍団がWallaceの顧客の庭をずたずたにして、怒った住民たちがWallaceのところに押し寄せ、定年手前の警察署長と新人婦警なども動きだすのだがどうしようもなく、こうなるとやっぱり頼りになるのはGromitしかいない。
ロボット社会やハッキングの恐ろしさも、警察や市民たちの愚かさも、Wallaceの小手先しかない愚鈍さも、なにひとつ目新しいところはなくて、それらをすべて見通して無言でペンギンに立ち向かって解決に導いてしまうGromitだけが聡明で、彼がいるのなら007もTom Cruiseも英国にはいらないよ、っていうお話しなの。あと、喋らない悪ペンギンがものすごく魅力的なので、レギュラーで出てきてほしい - *今朝のBBCでこいつはレギュラーだったことを知ったので訂正します。
彼らの世界では事件が収束して元に戻ると本当に何事もなかったように元に戻ってこれまでの暮らしが反復される。英国はこうして何百年もほぼ何も変わらずに or クレイアニメの制作スピードでずっと保たれてきたのだなー、って。
この後でWallaceは変わらず忙しそうだし、ロボットも悪くないかも、って思ったGromitは、通販でロボットを買ってみることにして → “Robot Dreams”の世界に…
*あと忘れていたので追記。今回のGromitはウルフの“A Room of One's Own”とミルトンの『失楽園』を読んでいる。
上映後のトークでは、撮影に使われた実物たちが持ち込まれて、ものすごく小さいのでびっくりした。てっきり人や犬のそのままの大きさだと思いこんでいた。これらを1週間動かし続けてフィルムでは5分、とか映画の中の100倍狂った世界があった。
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