12月16日、月曜日の晩、BFI Southbankで見ました。
ここで定期的にやっている”Projecting the Archive”っていうここのアーカイブに眠っていて上映される機会の余りなかった作品を - もちろんフィルムで - 上映するよ、というプログラムより。 BFIでも最後に上映されたのは1979年だとか。日本公開はされていない模様。
これも季節はクリスマス〜年末にかけての悲劇、戦争映画で、舞台は英国だけどアメリカ映画でVal LewtonのいてB級ホラーとかをやろうとしていた頃のRKO Radio Picturesの制作。
上映前のイントロでは監督Max Nosseck (1902 ‑ 1972) のちょっと変わったキャリアについての紹介があった。 現在のポーランドで生まれ、ドイツの映画界で仕事を始めたがユダヤ人だったので国を追われてフランス、スペイン、オランダ等を渡りつつ映画の仕事をし、キートン作品の監督などもして、アメリカに落ち着いた。その間、監督だけでなく俳優もしたりバンド活動などもしていた - どのパートか明らかではないが監督作中にピアノ演奏シーンがよく出てくるのでピアノだったのでは、とか。本編上映前にキュレーターの人が編集したMax Nosseckについてのスライドも上映された。
第二次大戦戦時下 - 頻繁に空襲されていた頃のロンドンで舞台に出ていた俳優のReginald Parker (John Loder)はずっと主演している芝居が終わった直後に建物の爆撃にあって落下物で頭を打ち、なんとか立ちあがるのだが自分が誰なのか一瞬わからなくなっていて、ああ自分はEdward Greyだったかも、と思いこむのだが、それは彼が直前まで演じていた芝居 “The Brighton Strangler”の絞殺魔のキャラクターだったので、彼は頭に入っていた芝居の筋書きの通りに行動して人に会い、連続殺人をリアルに実行していってしまうの。行方不明になって亡くなったと思われていた彼がそんなことをしていたことが判明し、最後の方で警察にビルの上に追い詰められて人質に手をかけようとした時に、彼の恋人が警察の方に「撃たないで、拍手するの!」と言って拍手すると彼はその手を緩めて、でも…
最初の方のやや緩めの展開から突然どす黒く生々しい犯罪ドラマに切替わり、最後にどうにか現実の方に戻ってくる緩急のつけ方が見事 - 人によってはB級という - なのだが、全体を眺めて見ると主人公はまったく悪い人ではなかった、という描き方が俳優の巧さもあって見事に演出されていて、戦争に巻き込まれた俳優の悲劇、犠牲者を描いているのだと思った。
このクリスマス・イブ 〜 クリスマスはひとりだしすることもないので早起きして8:00からやっているBorough Marketに行ってNeal's YardでスティルトンとウェールズのチェダーとSt.JudeのチーズとSan Danieleのプロシュートとイチジクとチェリーとバゲットを買い、HarrodsのロティスリーでPoussinのロースト(£10)を買って、これだけでこの2日間は - これなら一年でも - じゅうぶんやっていける。スティルトンって、なんであんなに深いのか。
映画は1本だけ - BFIのIMAXでお昼にやっていた”The Polar Express” (2004)を3Dでようやく。
みんなによいクリスマスが - クリスマスじゃなくても - 辛く悲しいことが起こらない日々が訪れますようにー。
12.25.2024
[film] The Brighton Strangler (1945)
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