12月6日~7日、金曜日から土曜日にかけてパリに行ってきました。遊び。観光。
パリは11月7日に日帰りで行っているので約一ヶ月ぶりで、今回のきっかけはオランジェリー美術館でやるというゴダールの遺作« Scénarios »の上映で、予約が必要とあったので11:30に予約して、でもその時間だと朝一のEurostarだとぎりぎりになる可能性があることに直前で気づいた、ので前日に入ることにした。パリなら何十泊しても(したことないけど)へっちゃらのはず。
そしたら、オランジェリーのゴダールは壁にプロジェクターでタイマー投影しているだけのしょうもないので、展示物も含めた同じ内容かそれ以上(同時上映作を多数含む)のがこっちのICAでかかり始めたので憮然としている。
以下、主なところをー
Corps in-visibles @ Musée Rodin (ロダン美術館)
ロダンの「バルザックのドレスのための習作」と題されたデッサン数点、石膏彫刻の習作からロダンが格闘していったバルザックの不格好でみっともない身体 - 当時のモードやら慣習やらが覆い隠そうとしていた彼の肉の置き場所・覆いようを示して、それは彼の小説が描き出そうとしていた世相や社会の様相ともどこかで繋がっていたのではないか、など。バルザックの身体の、変てこな生ハムのようにも見えるそれの考察として、なんとおもしろいことだろう、と。
ここの常設展示も庭園も何年かぶりだったが、いつ来てもしみじみよい。秋から冬に変わろうとしている頃の光と。
Olga de Amaral @ Fondation Cartier pour l'artcontemporain(カルティエ財団現代美術館)
コロンビアの織物作家のヨーロッパで最初の回顧展だそう。
自分は布とか糸を使って織ったりした作品が好物なのかもと思ったのは2018年、Tate ModernでのAnni Albersの企画展示で、こないだ日本に行った時も大倉集古館での志村ふくみ100歳記念展に痺れたのだったが、しかしこの化け物のような滝のようなでっかい創造物にはやられる。怪物の皮膚のようだし、どこかで発見された鉱物や化石のようだし、風に飛ばされてどこかに引っかかったり干されたりした植物のようでもあり、それらが屋外の、室内の光で浮かんだりなびいたり、その表情を刻々と変えていく美しさときたら。
ここの庭の隅に建てられたAgnès Vardaの猫小屋(La Cabane du chat)もようやく見れた。フィルムがずっと回っていて、お墓のところに猫の姿が浮かびあがるの。
Nadia Léger. An avant-garde woman @ Musée Maillol
Fernand Légerの二番目の妻 - Nadia Khodasevich Légerの作品を集めた展示。Malevichのワークショップにいたそうで、構成主義の影響が濃い素朴な前衛アート。Fernand Légerのそれとも繋がる。
Surrealism @ Centre Pompidou
先月きた時はすごく混んでいたのと、常設展示を見れなかったのでそこも含めてもう一度(しかしどっちにしても混んでた)。「超現実」の世界を見る、作るためには、やはり目の前の現実がどう見えていてそれがどう変容するのかを狙って追えていないと難しいよね、というところにこの展示の各セクションのテーマ設定はとても適切なものに見えるのだった。
Barbara Crane @ Centre Pompidou
地下の写真展示のところで。シカゴの写真家Barbara Crane (1928–2019)の小規模だがよく纏まった展示。現実っぽいところと宙に浮いたように見えるところをうまく組み合わせて、数を束ねていくことで見えてくる不思議な(リアル)アメリカの像。
翌日7日の土曜日はオランジェリーからで、久々だったのでMonetの睡蓮からちゃんと見ていった。
睡蓮、ぼーっと見るのは好きなのだが、絵(壁)の前でポーズとって動画を撮影している人たちが多すぎてなんなの?だった。そんなに「絵の前に立つ自分」を見てもらいたい?目の前の絵を見るのじゃなくて? 自撮り棒が廃止になったように、はっきりと迷惑なので廃止すべき。
ゴダールのは、1時間くらい見ていたけど、やはりがっかりで追悼のしようもない - そこが狙い? - のだった。
Heinz Berggruen, un marchand et sa collection
ドイツの画商の、主にピカソとクレーを中心としたコレクション。ピカソもクレーもとても幅が広いし、ずっと変わっていった画家たちなので、並べかたがやや乱暴な気もした。素敵な絵はいくつもあったのだが。
Pierre Bonnard - Bonnard au Cannet
パリ市立現代美術館(Musée d'Art Moderne de Paris)の常設展示の一部で。
テキサス州フォートワースのKimbell Art Museumからボナールの”Paysage au Cannet” (1928)を持ってきて、そこにÉdouard Vuillardが描いたボナールがアトリエでこの絵を描いているところ(この絵であることははっきりわかる)の肖像を並べていて、おもしろい。他に並んでいたボナールの大きめの絵2点もよくて、常設なのでタダで見れる。ここの常設ってすごくよいのね。藤田のヌードとかも。
Ribera - Shadows and Light @ Petit Palais
先月来た時に見れなくて悔しかったJusepe de Ribera(1591-1652)の展示。やたらドラマチックなヘビメタみたいな画家かと - 黒が多用されていると勝手に - 思っていたが、そうではなくて、子供、婦人、老人などの表情の造りとかとてもおもしろくて飽きない。Caravaggioが一枚の闇の奥にすべてを込めてしまうのとは対照的に、Riberaの絵の登場人物たちは、それぞれのストーリーを背負って絵の中にやってくる - 絵の外に繋がっているような。 カタログ買ってしまった。
Bruno Liljefors - Wild Sweden @ Petit Palais
同じとこで、スウェーデンの画家の動物の絵。猫とかウサギとか、みんな動きがあってかわいい。日本画からの影響も指摘されていた。
Christofle, une brillante histoire @ Musée des Arts Décoratifs(パリ装飾美術館)
食卓のナイフ・フォークといった銀食器だけでなく、花瓶から時計からシャンデリアから鎧まで装飾全般なんでも。ティファニーとかより日々のいろんなのに関わっているんだなー、って。ティファニーもそうだけど、まるごと揃えないとあんま意味ないような(だから結局関係ないって)。
Mon ours en peluche @ Musée des Arts Décoratifs
英語題は”My Teddy Bear”。テディベアの成り立ちと歴史、そこから派生したアートまで縫われ熊のすべて。サーカスの熊から入って、PoohとかPaddingtonとか、お話しを経由してぬいぬいへ。解説とか見ないでひたすら熊をみる。 横になれる休憩コーナーにはでっかいのが転がっていて…. 熊好きには相当やばいかも。ショップになんかあったらどうしよう… だったが、そこはだいじょうぶだった(商売へたねー)。
あとは本屋でYvon LambertとL'INAPERÇUに行った。後者ではMartin ParrキュレーションによるBest of British - 英国を撮った写真集(含.古本)ベストの展示・販売をやってて、散々悩んで重いのを買ってしまった。
ここの外に出たら雨がきて、この後にShakespeare and Companyに行くついでにノートルダムでも見ようと思っていたのだが、バスとかぜんぜん来ないし天気も荒れてきたので、La Grande Épicerieで食べ物買って帰った。北駅までの地下鉄は地獄のように混んでいた。クリスマスなのにシャンゼリゼも見なかったわ。
12.17.2024
[art] Paris -
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