12月8日、日曜日の晩、BFI Southbankで見ました。邦題は『アイリス』
ここで今月、”Richard Eyre: Weapons of Understanding”という特集をやっていて、上映前に監督Richard Eyre とJudi Dench、Jim Broadbentによるイントロがあった。当初の告知にJim Broadbentは入っていなかったのだが。
Richard Eyreというとやはり演劇の人、というイメージがあって、映画的な意匠・スタイルがどう、というより演劇のドラマ(的ななにか)をどう映像に持ちこんでおとしていくのか、それを実現するためにまず舞台出身の俳優がくる、とか。それを通して映画と演劇の違いも見えてくるだろうか、とか。でもまず見ないことには。
音楽は”Titanic” (1997)で当時波に乗っていたJames Horner。
作家Iris Murdochの夫John Bayleyのメモワール”Elegy for Iris” (1999)を原作に彼がIris Murdochと出会って結婚してから晩年までの42年間を描く。
Kate WinsletとHugh Bonnevilleが若い頃の彼らを演じていて、Hugh Bonneville → Jim Broadbentはよく似ているのでわかるけど、Kate Winslet → Judi Denchはどうなのか。イントロでJudiさんは「身長がちがうのよね。彼女でっかい..」って。169cm → 155cm - そんなに縮んじゃうのか…
若い頃、ふたりが出会った頃、ものすごく活発で勝手に前に引っ張っていくIris (Kate Winslet)と見るからに奥手の年下でガリ勉くんのJohn (Hugh Bonneville)の組み合わせと、アルツハイマーを発症して全てに懐疑的になり内に籠って次第に暴力的になっていくIris (Judi Dench)と彼女をどうにか抑えて抱きしめようとするJohn (Jim Broadbent)の奮闘・ぶつかりあいの対比 - エピソードのどれもが大変だったんだろうなー、と思いつつも、あくまでもJohnの視点からのものでしかないので、ぜんぶその通りに受けないほうが… というのは少し思った。
ただ、中心の4人の、ずっと愛と敬意を込めてお互いを見つめていって止まらないかんじ – これらが場面ごとにランダムに切り替わっていく構成はよくて、これが時間軸を跨いで無理なく機能しているのは俳優の力だねえ、と思った。
あと、Iris Murdochの作品とか思想に殆ど触れていない –ここで描かれた彼女の行動を見よ、なのかもだけど。
いきなり、久々にTVにテレタビーズが出てきたので少し動揺したり。
Play for Today: Comedians (1979)
12月1日、土曜日の晩、↑と同じ特集で見ました。イントロに監督Richard EyreとJonathan Pryceのトークつき。
BBCの”Play for Today”という1970年から84年まで14シリーズ、300以上のエピソードが制作されたTVシリーズがあって、ここのシリーズ10で放映された一本。作品によって長さはばらばらなのだが、これは94分、こんなのをふつうにTVでやっていたってすごい…
原作はTrevor Griffithsの戯曲で、Richard Eyreがノッティングヒルで演出していた舞台をそのまま持ってきて、Jonathan Pryceは舞台版でも出演していた - ので制作は割とスムーズだった、と。
夜学で、コメディアン養成クラスのようなのがあって、そこに集まってきた6人のコメディアン志望の若者とかおじさんとかと、彼らに教える老いた先生のやりとりを中心としたドラマ。最初は教室でディスカッションをして、そこから実際のパブのようなところでのスタンダップの晩の顛末と、その後再び全員が教室に戻っての先生からの講評とこれからについて…
誰も彼も口先だけは達者だし自信あるので始めはでっかいことを言っていたのが、ライブではぜんぜんうまくいかなかったりで、最後はしょんぼりしんみり、ひとりひとり教室からいなくなっていく。コメディの笑えたり楽しかったりマヌケだったりのノリはほぼなくて、これからの(先の見えている)人生の嫌な重さが夜の暗さと共にやってくる…
Jonathan Pryceさんは最近の大御所の漂うふうはまったくなく、白塗りメイクだったりまだ元気いっぱい、というか不気味な得体の知れないかんじがとてもよかった。
12.17.2024
[film] Iris (2001)
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