11月30日の土曜日、昼間に”The Brutalist” (2024)を見て、心地よくぐったりになって、夕方には”All We Imagine as Light” (2024)を見る予定だったのだが、間に隙間ができて、ちょうどアクション映画特集からサイレントの2本立てをやっていたので見る。
キートンもロイドも、なにをいつどれだけ、何回見ても楽しいし動いた気になれるし、ライブのピアノ伴奏は名手Neil Brandさんだし。
One Week (1920)
25分の短編、Buster Keatonが作・監督・編集・主演・スタント、ぜんぶやっている。邦題は『文化生活一週間』。文化… ?
月曜日に結婚した新婚カップルのところに火曜日に組み立てキットハウス一式がやってきて説明書き通りに組み立てようとするのだが、彼女にふられた求婚者がこっそり部品の番号を書き換えちゃったので、歪にゆがんだ変てこな家ができあがって、それでも負けずに金曜日に新築パーティをしてみたらそこを狙ったように嵐が襲って… という最初の一週間のおはなし。 説明書き通りにやったらあんなふうに複雑怪奇な – でもそれなりに機能してしまう - ものができあがる、というのもおかしいが、そこでふつうに生活してしまうのもすごいし、台風でくるくる回っていくのは楽しそうで天才としか言いようがない。 そして最後のオチで、住所が違っていた、と。ヤドカリみたいになれるのもうらやましい。さっき見たThe Brutalistの人が見たらめちゃくちゃ怒りそうなやつだが。
そして、これらの家を相手にしたアクションをぜんぶスタントなしのライブでやってしまうキートン、変わらずすごい。
Safety Last! (1923)
73分の中編。邦題は『ロイドの要心無用』。 高いところの時計にぶら下がりのアクションは有名よね。“Safety First”– 「安全第一」の標語をもじったやつで、安全が最後でも生きているのなら…。
最初は獄中らしきセットで、鉄格子があり、母親と彼女らしき女性が不安そうな顔で、上のほうから縄が垂れていて、厳かに神父が現れるので絞首刑か、と思うのだが、実はただの駅だったと。ここの、死んでいておかしくないシーンに見えたけど実はぜんぜんそうじゃなかった、というお茶目なのが基調で、なおかつこれは、都会に行って成功するんだ & 彼女と幸せに暮らすんだ、というところに向かっていくrom-comなの。これがあるからどんな危機も乗り越えることができるしへっちゃらだし、すべての説明がついてしまうのだから最強なんだってば。
ビルの外側の下から素手で上にあがって(あがらされて)いく、それだけなのに、なんであんな大ごとになっていくのか。キートンだと、外からいろんな脅威が降りかかってくるかんじだけど、ロイドは自分からひっかぶるべく何も考えずに首をつっこんでいく。両者の技を身につけておけば世の中なんも怖いものなくなる。
客席の家族連れの子供たちもきゃーきゃーおもしろがって、やたらでっかい声で笑うおじいさんとかもいて、こんなふうにみんなが楽しんでいるのを見るのはよいなー、って。
Girls Without Nerves: Action Women of the Silent Era
少し戻って、11月17日、日曜日の午後、BFI Southbankで見ました。
これもアクション映画特集の出しもので、「神経のない女性たち」ってひどいタイトルだな、って思って、実際に見てみると、そうとしか思えなくなるのだったが、英国でニュースリールとして上映された時のタイトルだったのか。 今回上映されたのは以下の短・中編で、どれも公開当時は評判になってヒットしたものだった(だから残っている)と。
▪️ The Wife’s Revenge (1904)
▪️ Girl Without Nerves. Topical Budget 545-2 (1922)
▪️ Hazards of Helen: The Girl at the Throttle (1914)
▪️ Daredevil of the Movies (1925-29)
▪️ Vittoria o Morte! (1912)
内容は夫の替わりに腕まくりして決闘に向かう、という勇ましいものから、機関車の後ろにぶら下がったり、飛んでいる飛行機の上に立って笑っていたり。Helen HolmesやEmilie Sannomといったスターも生まれた、と。
彼女たちの命知らずのアクションは賞賛や感嘆の対象としてある、というより、見世物小屋の見世物(親の因果がぁ~)とか、ゲテモノのような扱いで、「女性なのに」あんなことやる(やらされる)なんてかわいそうに、という目線があるようで、まだそういう時代だったのだな、というのと、でも映像のなかの彼女たちはどう見ても楽しそうでやらされているかんじゼロだったりするので、この辺りからあれこれ叩いたり嘲笑ったりが始まっていったのだな、って。そしてこんなにかっこよいのに、神経がないとかバカにしたように言われるのって、いまだに続いたりしているねえ。
12.05.2024
[film] Girls Without Nerves
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