12.28.2024

[film] Meet Me in St. Louis (1944)

12月21日、土曜日の昼、BFI Southbankのクリスマス映画特集で見ました。

もう何回も見ている。監督はVincente Minnelli 、邦題は『若草の頃』。Sight and Sound誌のFilm Makerが選ぶFavorite Christmas Film特集ではWes AndersonがこれをFavoriteに選んでいた。

最初に見たのは確かNYのLincoln Centerで、テクニカラーの世界を紹介する特集 - 当然ぜんぶフィルム上映 - だった。他にかかったのは”Pandora and the Flying Dutchman” (1951)とか”Bonjour tristesse” (1958) とかいろいろ。

St. Louisの一軒家でわいわい暮らすSmith家の四季のいろんなこと、隣家の気になるboyのこととか、パパが持ってきたNYへの転勤話とか、ただこれらが映画の大きな軸や幹をつくるかと言うとそんなことはなくて、これらのうねりを巻き起こして騒ぎにもっていく家族ひとりひとりの豊かで変なおもしろさと、それらを束ねてオーケストラとして鳴らしてしまう監督の演出の力が際立っているような - Wes Andersonの作品たちと確かにこの辺は似ているのかも。

でも、それでも、NYへの引越し前夜にむくれてぐずぐずしている末娘のTootie (Margaret O'Brien)にEsther (Judy Garland)が”Have Yourself A Merry Little Christmas”を歌ってあげるシーン - 歌いあげるかんじではなくやや声を抑えて言い聞かせるように歌うところ、そこからTootieが家の外に出て泣きながら庭の雪だるまたちをぼこぼこにしてしまうところは、何度見てもこっちがオートマチックでぼろぼろに泣かされてしまう。 理由はよくわかんないけど、周りもここは結構ずるずるしていたので、そんな何かが仕込んであるのではないか。

あと、最初の方に出てくるケチャップの仕込み、とても味見したくなる。


It’s A Wonderful Life (1944)

12月21日、↑のに続けてBFIの同じシアターで見ました。
この2本を続けて見る、というのは時間のそれだけじゃなくて結構重いのだが、この季節はそういうことを考える時だし、クリスマスにはそういうところもあるのだ、あるべき、くらいに思う(← うざい)。

監督はFrank Capra、主演はJames Stewart。これも何回も見ていて、今年はBFIだけじゃなくてふつうに封切りをやっているシアターなどでも結構かかっている。

小さな町の人気者George Bailey (James Stewart) のこれまでの生涯を天使の目で追いつつ、大事なお金を無くしてしまった同僚の責任をひっかぶって絶望し、自分なんてこの世からなくなっちゃえばいいんだ、っていう危機的な叫びを聞いた二級天使が、そんなに言うならGeorge Baileyが始めから存在しなかった世界を見せてやろう、って見てみたらあまりに酷いものを見てしまったのでやっぱり戻るわ、って言うの。そうして戻ったら町のみんなが彼のためにお金を持ち寄って助けてくれるの。

ギブアンドテイクと自己責任論がふつうになり、たとえだれそれがいなくなったところで替わりはいくらでも(用意しておかないと怒られる)、の時代にGeorge Baileyになることはむずかしい、けどクラウドファンディングだってあるからだいじょうぶ、などにこの作品が求められてしまう今の背景や事情 - お金も情もだいじ - が見えてくるのだが、自分がいなくなったところでどこにも、なんの影響も及ぼさない生き方だってあってよいし、この論理の線上に例えばガザの子供たち - 自分の見えない、手の届かないところにいる弱者をどうするのか、という地点に天使はいない気がするのだがどうなのだろう? という辺りをいつも考えてしまう。

それなら”It’s A Wonderful Life”なんていつまで経っても言えないんじゃないの? については、自分は言えない気がする… と反省してお祈りするのがクリスマスなの。

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