5.25.2026

[film] The Onion Field (1979)

5月17日、日曜日の午後、『霧のごとく』に続けてシネマート新宿で見ました。
この2本、どちらも実際にあった歴史に基づいた土地を巡るドラマ、どちらも2時間越え。

監督はHarold Becker、原作・脚本はロサンゼルス市警察の巡査部長だったJoseph Wambaughによる同名のルポルタージュ(1973)。

1963年、LAPDの刑事Karl Hettinger (John Savage)とIan Campbell (Ted Danson)は同僚で、Karlは結婚して小さな娘もいる幸せな家庭を築いていて、独り身のIanはバグパイプを吹いたり落ち着いてて優秀で、母を愛するとてもふつうの若者で、そんな彼らとは対照的にストリートではふつうの西海岸チンピラであるGregory Powell (James Woods)が手下のJimmy Smith (Franklyn Seales)を従えて、すぐ沸騰暴走するやばいキャラであることを示しつつも、あーなんかつまんねえな、とこれもふつうのでかいツラ/チンピラ振る舞いをしている。

そんなある晩、お弾けモードで違法なUターンをしたGregoryとJimmyが乗った車を業務で巡回していたKarlとIanが停車させて調べようとしたら逆に押さえこまれ、車に乗せられ本道から外れたオニオン・フィールドまで走らされて、道端の降ろされたところでIanはあっさり射殺され、Karlも追われながらも月夜の闇に紛れてどうにか逃げることができ、やがて彼の証言によりGregoryとJimmyはあっさり捕まって収監される。

犯人ふたりは特になんの問題もなくストレートに第一級殺人罪で有罪 → 死刑判決を受ける。のだが、獄中で刑法を学んでJimmyと弁護士を丸めこんだGregoryは審理をだらだら引き伸ばしたり都度弁護団を替えたりして控訴を繰り返し、そこにカリフォルニア州での制度としての死刑廃止が絡まって、終身刑のまま生き長らえていく。

他方で、生き残ってしまったKarlは後悔と罪悪感に苛まれて精神状態がおかしくなっていって、家族の面倒どころか窃盗癖や自殺志向で苦しみ、裁判での証言もできなくなって警察を辞め、リハビリをしながら細々と園芸業を始めることになる。

オニオン・フィールドのあの闇夜の出来事が、加害者側をどこまでも延命・増長させ、生き残った被害者側を苦しめてどん底に叩き落す、という非情なドラマとなり、しかしその非情の裏に法的におかしなところはなくて(当時)、なんて非道でかわいそうなことだろうか、になる。ふつうだったら、そういう状態を可能にした司法の穴というか問題はどこにあったのか、を明示すべきなのかもしれないが、それをしないので、犯罪が起こったあの時、あの場所 - オニオン・フィールドのぺったんこの闇がそのまま続いていて救いのないイメージがドラマチックとは程遠いプレーンなトーンであっさり描かれて、取り残されてどうしたら… しかなくなる。

50年代のノワールにあった、人々をかき回して狂わせる、その中心にある渦とか闇のようなもの、情念とか欲動などは(描かれ)なくて、真面目な方と不真面目な方のそれぞれの挙動と弱さ(強さではなく弱さ)、それがもたらす(ひどい)結果と現実を、それぞれの側と境目のありようと共に描いて、見ている我々をその隙間に放り出す。「当事者」が見えない大きなドラマって70年代のそれ? なのかは不明だが、70年代ぽい、でっかくてどこにも行けなくてどうしよう、って立ち尽くしてしまうかんじはあるように思った。

あと、James Woodsってこの頃からあんなにからからの悪役だったのねえ。

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