5月12日、火曜日の晩、TOHOシネマズ日比谷で見ました。 邦題は『ひつじ探偵団』。
原作はドイツのLeonie Swannによる”Glennkill: Ein Schafskrimi” (2005) – “Three Bags Full: A Sheep Detective Story”、脚色はCraig Mazin、監督はIlluminationで”Despicable Me 3” (2017)や”Minions: The Rise of Gru” (2022)などを共同監督してきたKyle Balda。
予告を一見して”Babe” (1995)のスタイルで動物たちが英語で会話しながら人間社会を騒がせつつ横切ったり突撃したりしていくドラマで、明らかにB級だしこのスタイルはもう目新しいところないし、と思っていたのだったが、あーらびっくり人間/動物ドラマとしてものすごくよかった。 “Babe”のときもそうだったが、こいつら羊畜生の、家畜のくせによう… ってやられてしまう。
原っぱに大量のひつじがいて、Hugh Jackmanなので舞台はオーストラリアかと思ったらイギリスのDenbrookという田舎町で、そこでGeorge Hardy (Hugh Jackman)はトレイラーハウスに暮らして(肉用ではなく羊毛用の)羊飼いをしていて、仕事が終わった夕暮れにはゆったり座って羊たちに向かって推理小説を読んで聞かせている。羊たちはただ彼の朗読を聞いているわけではなく、その内容についてちゃんと理解しているし、みんな名前とキャラクターがあって品種もぜんぶ違っていて、Georgeの最愛の羊で推理小説マニアのLily (Julia Louis-Dreyfus)、なんでも記憶しているMopple (Chris O’Dowd)、一匹羊のSebastian (Bryan Cranston)、群れから仲間外れにされている冬生まれの子羊、など個性的で(声をあてている俳優たちが豪華ですばらしい)、みんな死んだら雲になると思っているし、嫌なことがあったらすぐに忘れることができる(羊いいなー)。
ある日Georgeがトレイラーの外で倒れて亡くなっているのが発見されて、地元の警官のTim (Nicholas Braun)は心臓発作による病死で片付けようとするが、取材に来ていたジャーナリストのElliot Matthews (Nicholas Galitzine)がこれは殺人事件と思われるから、と捜査するように促して、一緒に捜査を進めていくなか、アメリカ人のRebecca (Molly Gordon)が線上に浮かびあがり、弁護士のLydia (Emma Thompson)も現れてかき回したり、農場の買収話や真偽が怪しい遺言状に基づく遺産相続の話も絡んで村人も部外者も誰もがなんか怪しいぞ、になっていく。
他方でLilyを中心とした羊探偵チームは、Georgeから日々語り聞かせられていた推理小説の筋立てやプリンシプルを振り返りつつ独自にGeorgeの足跡を追って何が起こったのかを絞り込んでいって… そしてそこに迫ってくる新たな主(食肉工場)の影が。
推理・探偵ドラマとしてのプロットはどうというものではなくて、そこメインを置いたものでもなくて、いつも羊たちのことを思ってくれていたGeorgeのこと、彼と一緒に過ごした時間、その記憶がどれだけ大切なものなのか、に気づいたときに核心が見えてくる(だから思い出を忘れちゃいけないんだよ)、という極めて羊っぽい動き、エモーションのなかで反復されるGeorgeへの思いともふもふ感がたまんなくよくて。 そういえば”Babe”でも羊たちはみんなよいこだったなあ、って。
更に最後に明らかにされる名前のストーリーが追い打ちで、なんて素敵なお話なのでしょう、ってなるの。
唯一あるとしたらここまで心洗われるようなラストと(ややコミカルであるとは言え)殺人事件のギャップ、だろうか。殺人ではなく失踪とかにしてもよかったのでは、とか。
あと最初に浮かんでしまったイメージは当然のように羊の毛を刈るWolverineだったのだが、さすがにそれはなかった。
5.19.2026
[film] The Sheep Detectives (2026)
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