5.22.2026

[film] The Lady Eve (1941)

5月16日、土曜日の昼、シネマヴェーラのPreston Sturges特集で見ました。

Sturgesといえばこれ、の1本で、1941年のNew York Timesの年間ベストでは『市民ケーン』を抑えて1位になった、というのはダテではないの。 もう何度も何度も見ていて、何度見たってあきない。

原作はアイルランドの劇作家Monckton Hoffeによる19ページの短編"Two Bad Hats"をSturgesが脚色している。邦題は『レディ・イヴ』。

冒頭にヘビとリンゴのアニメーションが流れて、聖書に関わるようなお話だろうか、と思うのだがほぼまったく関係なくて(あー堕落、とか?)、おちょくっているだけ。

アメリカのビール(エール)会社の御曹司のCharles Pike (Henry Fonda)が一年間の密林での探索ツアーを終えてアメリカに戻る豪華客船に乗り込んできて、それを美貌の詐欺師Jean Harrington (Barbara Stanwyck)とその父(Charles Coburn)とお付きの3名が待ち構えて、足を引っかけて転ばせて懸けトランプに巻き込んで簡単に突き落とした、と思ったらそれ以上にJeanはCharlesに惚れてしまって、でもCharlesのお付きのMuggsy(William Demarest)が連中は詐欺師だから、ばらして船の上の恋は簡単に藻屑と消える。

いろいろ諦めきれずにめらめらしているJeanは、コネチカットの詐欺師を介してイギリス貴族の令嬢Lady Eve Sidwichとして蘇って、Charlesの実家のお屋敷を訪れる。Lady Eveは船の上と同様に彼の一族を簡単にめろめろに落として、CharlesとMuggsyは彼女があまりにあのJeanと似ているので、そんなバカなって目をこするのだが、決定打を見いだせずにずっこけてばかりで、でもEveがあまりに素敵なので結局落ちて結婚することになる。

ハネムーンの止まらない夜行列車のなか、過去の男性遍歴を連続でぶちまけてウブなCharlesを粉みじんにしてざまぁ、ってやった後、ふたりの婚姻は当然なかったことに、になるのだが、そんな簡単に終わるような恋ではないのだった…

これ、詐欺師が男性側だったら割と「痛快!」とか持ち上げられであっさり終わる気がするのだが、Barbara Stanwyckの場合、彼女が余りに堂々として見事なので、こちらもまんまと騙されて、後には痺れるような快楽しか残らないの。


The Palm Beach Story (1942)

5月16日、土曜日の夕方に同じ特集で見ました。 監督、脚本ともPreston Sturges。
日本公開(1948)当時の邦題は『結婚五年目』だったそうで... ちょっとひどい。

高速回転させたウィリアム・テルの序曲に乗って、ものすごいスピードの錐もみで大量の変な人たちが窓の向こうに流れていくスクリューボール・コメディ。

冒頭の結婚式のシーンは、何度見てもなんだこれ? ってちょっと混乱する(けど、最後にああー。って)。

そこから5年後、NYのPark Avenueのアパートに自称"Wienie King"を名乗る耳の遠い老人(Esther Howard) が妻に付き添われて内見に現れて、そこで家賃滞納で燻っていたGerry (Claudette Colbert) と出会い、老人は彼女の話を聞くとこれまでの滞納分に加えてドレス代までくれて、その晩発明家の夫のTom (Joel McCrea)と口論になった彼女は離婚手続きを進めるべくフロリダのパームビーチにひとり列車で向かうことにする。

列車に乗ろうとペンステーションに向かうGerryだったが無一文で、でも改札口で知り合ったAle and Quail Clubっていう狩猟クラブの男たちが親切で乗せて貰う。のだが、この連中がめちゃくちゃ狂ってて車内で銃を乱射しはじめたので、たまらず別の車両に逃げて、そこで出会ったのが世界的な大富豪のJohn D. Hackensacker III (Rudy Vallée) - でも相当変な - で、彼もいろいろ恵んでくれて、他方で諦めきれないTomも"Wienie King"の支援を受けて飛行機でパームビーチに向かい…

現在の貧しさと停滞する夫婦関係の縛りから逃れようとする思いと、新しい恋を見つけて落ち着きたい、という思いが道中で挟まって絡んでくる変な連中 – でもみんなお金だけは持っている – との出会いでかき回されて、でも同時に恋もノンストップの前のめりでいると、すべてが冗談みたいに都合よく落着していってしまう。

上の2作、どちらも普通じゃない大金持ちが絡んで、彼らは金儲け以外のことは無知で愚鈍で、恋にも虫のように固まって不器用だがお金は出してくれるので、うまく使っちゃえばよいのだそれが社会のためなのだ、っていうことでよいのかも。

最近の金持ちは異常者ばかりなので近寄るべからず、の方になってしまいがちだが、この頃はまだ夢があったのかも、ね。


この日、上の2本の間に、”If I Were King” (1938) – 邦題 『放浪の王者』も見たのだった。
監督はFrank Lloyd、Preston Sturgesが脚色した時代劇で、101分もあって(この特集の中では)とても長く感じた。

主人公がFrançois Villon (Ronald Colman)で、中世の詩人の、鈴木信太郎や天沢退二郎らが訳したりしてきたあのヴィヨンが、反乱軍のリーダーみたいになって大活躍するの。 ほんとかよー、って。

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