10.27.2025

[film] Roofman (2025)

10月19日、日曜日の午前10時、IslingtonのVue (シネコン)で見ました。LFFの最終日でいろいろ詰まっていたのでこの時間になる。

LFFでも上映されたやつで、ポスターはでっかい熊のぬいぐるみを肩車して黄色縁サングラスのChanning Tatumが銃を構えているやつで、その手前にKirsten Dunstがいる - こんなの絶対楽しく弾けまくるクライム・コメディだと思うじゃん。 ぜんぜん違った…

監督は”Blue Valentine “や”The Place Beyond the Pines” (2012)のDerek Cianfranceで、実話を基にしている。音楽はGrizzly BearのChristopher Bear。

00年代、Windows XPの頃のアメリカでJeffrey Manchester (Channing Tatum)は元軍人で3人の子供がいるが社会に馴染めなくて妻からは嫌われ子供たちからもちょっとひかれている。で、お金を稼ぐためにマクドナルドの屋根に穴を開けて中に侵入し(だから”Roofman”)、礼儀正しく従業員を傷つけることなく現金を強奪すること45軒、でもとうとう捕まって、でも刑務所を天才的な器用さと機転で抜けだしてしまう。

次に捕まったら永久にアウトなので軍人仲間のSteve (Lakeith Stanfield)に連絡して偽造パスポートを作って貰うまでの間、でっかいトイザらスの店舗に入り、フロアに死角のエリアを見つけると店内監視カメラのレコーディングをOFFにして、布団も髭剃りもドライヤーもM&Mとか食料もぜんぶ店内のものを調達しながら店内で生活を始める。

店長(Peter Dinklage)は厳格で陰険な奴で、彼に苛められている従業員でシングルマザーのLeigh (Kirsten Dunst)が気になったので、店長のPCのパスワードを盗んで彼女のローテーションを軽くしてあげて、彼女が通う教会にも行ってそこのコミュニティに受け入れられて、付き合いが始まる。

政府系の人には言えない仕事をしている、と嘘をついて、店内のおもちゃを沢山お土産にして、彼女のふたりの難しい娘も彼に馴染んでいって…

破綻することが見えている話なので先は書きませんが、JeffreyとLeighが親密になっていく過程と、それが儚くあっけなく壊れてしまう瞬間の切なさは実話、ということもあってかとても生々しく、それをChanning TatumとKirsten Dunstのこれ以上は望めない組み合わせが支えている。夢を追って有頂天になる姿、それが壊れたときの痛みを全身で表現できるふたりなのでー。だからどうしてもこの2人がありえないやり方で編みだすであろうハッピーエンディング - 別の結末について、つい夢想してしまうのだった。

それにしても、Jeffreyの器用さがあったらなんでもできるんじゃないか、って素朴に思う。自分は彼がさっさかできることの10%もできない気がする。


Good Fortune (2025)

10月22日、水曜日の晩、Picturehouse Centralでみました。

ポスターには背中に羽を生やしたKeanu Reeves Aziz AnsariとSeth Rogenが並んでいて、久々のバカ映画な気がした(けど実際にはそんなでもなかった)。 簡単に機内映画に行きそうなB級風味。 作・監督はAziz Ansari。

Gabriel (Keanu Reeves)は見習いの天使でTexting & Drivingをしてて危機一髪の人を救うのを - まだ見習いだから - 主にやってて、ある日、定職を持たず、車に寝泊りしてデリバリーサービスの顧客ポイントで日々食いつないでいるArj (Aziz Ansari)が目にとまってなんとかしてあげたい、と思う。

Arjは配達先の豪邸でなんでもあるけどあれこれ要領悪く暮らしているテック系の投資家Jeff (Seth Rogen)と出会って、彼の家の住みこみの小間使いとして働き始めるのだが、ちょっとしたことで解雇されて、車もなくなって、いよいよ崖っぷちになると、Gabrielは大天使Martha (Sandra Oh)が止めるのも聞かず、ArjとJeffの立場を入れ替えてやったら元に戻せなくなり、その罰として天使からふつうの人間にされてしまう。

こうして、立場がすべてひっくり返ってしまった富豪 - 極貧 - 天使はどうやってサバイブしていくのか、元に戻ることができるのか? っていう寓話、教訓話しみたいなやつで、人の運とか金まわりなんて、天使がいようがいまいが結局関係ないのだ、っていうことなのだろうが、それをこの文脈でやっても、貧乏人は諦めて努力していくしかない/そのうち回ってくるかもー、でしかなくて、それってなにがおもしろいの? になるのだった。貧乏が昔ほど笑いのネタにならなくなっている - 他にもあるけど - という事態をおちょくる、という高度な意図もあったりするのか。

あと、人間になったGabrielがナゲットとかバーガーとかタコスを、こんなに美味いものがあるなんて! って頬張るシーンは微笑ましいけど、天使って食事したことないのにどうしておいしいって言えるのか。 馬糞食べさせても歓ぶんじゃないの? とか。

『ベルリン・天使の詩』(1987)の頃、天使はヒトと恋におちるべく決意して人間になったのに、いまは罰で人間になるのかー、とか。

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